ペリー

可笑しな奴

Jan. 25, 2004
2004年1月25日 日曜日
今日は黒岩さんのお迎えの日だった。

退院させてリリースさせるのは、いつだって辛い。何度経験しようが慣れる事はない。

今回はオスだけど、2泊させて戴いていた。シーツに包んだ捕獲器を待合室に運んで貰い、覗き込むと甘えて鳴き、その後はゴロゴロ言っていた。

捕獲器の中でゴロゴロ言った野良猫は初めてだ。そんな子を家猫に出来ず、自分は一体何というだらしない人間なのだろうと情けなくなる。



血液検査もして貰っていた。結果は予想通り。

あと1匹家に入れられるか?こうちゃんと二人で悩む。しかし本当にキリがないのだ。みーちゃんはどうする?サクらちゃんは?メーちゃんは?今ですら、もはやキャパシティを超えているのを日々感じているのだ。



置いてやる事だけならば出来るだろう。しかし、ご飯とトイレだけ与えれば良いとは思えない。どうしても1匹ずつにかける時間と居住スペースをを充分にとり、ストレスの少ない状態で飼育したい。家の猫たちの誰かをそうして、誰かをそう出来ないというのは考えられない。みんな平等に大切にしようと思えば、自ずと限界を設けるしかない。



びっしりとシラミの卵のついた背中の毛は、短くカットされていた。全身にフロントラインのスプレーをすり込んで貰っている。いずれまた、スポットでフロントラインを垂らしてあげよう。

捕獲器の隙間から指を差し入れると、口元をスリスリしてくれる。大きな図体に似合わない可愛い声で鳴く。ごめんね、飼ってあげられず。




黒岩さんを乗せて、ラボへと向かう。

車の中で悶々とする。こうちゃんも無言だ。確かに私達は無力で、その事に打ちのめされる。野良猫を避妊する事や保護した子の事はさておき、出来なかった事を数え上げてくれて「そら見た事か」と中傷のネタにされるのも解っている。

しかし中傷する連中よりはマシな事が解っているから、その点だけは気楽だ。

何も感じず簡単に捨てる人間たちがいて、何も考えず僅かな費用を惜しんで飼い猫に避妊しない人間たちがいる。

捨てられて過酷な運命を辿る猫たち。飢えと寒さだけでなく、頭のおかしな人間や他の外敵、交通事故や毒や罠の危険に晒され続ける野良猫たち。

そういう野良猫を単に「殺してしまえ」とうそぶき、自分では何も役に立つ事などしないで、匿名でどこかの掲示板のような場所でのみ生き生きとしている、非生産的で劣等感の裏返しで強がっている冴えない人間達。

ならば自分のしている事を言ってみろ、或いは何もしないならせめておとなしくしていろと言いたいが、バーチャルな世界でしか自己主張出来ない寂しい連中が、予想しているよりも遥かに大きな割合で存在している事も事実だ。

いつの世だろうが、形を変えて存在し続ける、ネガティブで非生産的な人間達。
その仲間に入らなくて済むよう、「批評と批判だけする最低の人間」にならないよう、気をつけて生きていたいと思う。

そういう連中に向かって何かを言うのは虚しいのかも知れないが、たまには挑発して、ますます連中が自らの品性を貶める事に拍車をかけるようなネタを与えてやろう。

こちらは満たされているから、何をされようが痛くも痒くもない。表に出て来る勇気がないくせに、屁理屈と揚げ足とりだけで盛り上がっているのは、負け犬で惨めだね。






黒岩さんは、暖かい日中にリリース出来て良かった。

捕獲器の扉を開けると、予め用意しておいたご飯を身体半分捕獲器に残したまま食べる黒岩さん。そのご飯は、行きがけに顔だけ見ようと立ち寄ったら、ミヨコ持たせてくれたマグロのアラの水煮したものだ。

そりゃあ美味しいよね。



普通だと、捕獲器の扉を開けると脱兎の如くぶっ飛んで出て行ってそのままどこかへ消えてしまうのだが、やっぱり黒岩さんは普通の野良猫ではない。

みーちゃんやサクらちゃんも出て来たのであちこちにご飯を置くのだが、それも一通り食べたくてウロウロする黒岩さん。様子を見ていたくて、黒岩さんが居る限りは見ていた。



やがて1時間半も遊んでから、貨物線の高架下へと去って行った。

「帰ろうか」とこうちゃんに声を掛け、トボトボと(車でトボトボもないもんだが、実際そういう気分で)帰路についた。

あまりに疲れてしまい、そのままフードの買出しに行けそうもない。途中のKFCでコーラを飲んでから、毎週恒例の「ONE」へと向かう。

1週間分の野良の缶詰とトイレのオカラの砂を2ベール買い(約2万円)、不良品のプラケージを只で貰って(充分使えるものだ)、最期にガソリンを満タンにして帰って来た。



何だかぐったり・・・。もはや、普通の家では夕飯の支度にかかる頃だろうが、夜のエサやりに備えて少し横になる事にした。

こうちゃんは、そのまま仕事にかかる。あと数日で仕上げる予定らしいのだ。頑張れ。言葉というものにこだわって丁寧に英訳しているので、決して早い仕事とは言えないだろうが、仕事に対して、そして依頼主に対して誠実にやっているのだけは確かだと思う。



エサやりの往復2時間で、またまた疲れて寝てしまい、これを書いているのは又しても翌日である。

更新も一杯残している。まだトップシーズンではないのだが、焦る。焦らない事にしたのだに、今年は・・・。


イオ

ザ・ビューティ

Jan. 25, 2004

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