ルス

Feb. 23, 2004
2004年2月23日 月曜日
昨夜の風雨は朝には止み、空は嘘のように晴れていた。よし、リリース日和だ。サクらちゃんとメーちゃんを乗せているので、静かに走って出勤した。流石に3晩も閉じ込められていたので、サクらちゃんまでが無言で運ばれている。時々声をかけるのだが、返事がない。心配になってしまうではないか。

しかし車が第一京浜を横切り、渡田の辺りまで来たら、サクらちゃんは急に鳴き始めた。空気で解るのだろうか?そろそろ浜川崎だという事が・・・。

「あと少しだよ」と励ましつつ、私も気持ちが逸る。しかし猫を乗せていると車を飛ばせないので辛いところだ。やっとラボに着き、それぞれキャリーと捕獲器の中に抗生物質を混ぜたご飯を入れてやる。半分でも食べたら、出してあげようと思っていた。しかし、どちらもなかなか食べない。そのまま走り去られては、投薬失敗だ。サクらちゃんの手のハゲは、どうやら怪我の跡らしいから、ちゃんと治療してあげたい。ここはもう3晩と比べれば大した時間ではないのだから、薬入りご飯を食べるまでは根競べだ。

そしてようやく1時間後、ご飯が半分以下に減っているのを確認してから外に放した。メーちゃんはそのまま走り去り、サクらちゃんはウロウロしながらみーちゃんの食べ残したシーバを食べたりしていた。暢気で可愛いけど、こんな子は滅多にいない。耳のピアスが、太陽の光でひときわ光っていた。元気で頑張れ、ご飯はたっぷりあげるから。

避妊して野に戻す辛さは、いつだって同じだ。比較的馴染みの浅い子でも、声を掛けながら病院までの遠い道のりを車で一人で運んでいると、とてもシンパシィを感じてしまうようなのだ。「地域猫の避妊」だと言って、事務的にはとても済ませられない。「ごめんね」と言ってしまうのも事実なのだ。たとえ1度きりだとしてもワクチンも7種で接種し、フロントラインもして貰っておいた。放す前に出来る事は、全てしてあげたい。

《猫の手倶楽部》に関して、大きな変化の時を迎えようとしているのだが、それをどうしたものか考えている時間の余裕が今はない。仕事は今が一番忙しい時期だ。幾ら生活の為の仕事だとしても、ここ暫くは正念場となるはず。この秋にはプロジェクトの存続が掛かる中間評価がある。その時に使われるデータの一つとなる、大事なイベントも控えている。所長に「語って」貰うビデオのシナリオも書かねばならない。私の役割としても、これまでの総決算なのだ。

《猫の手倶楽部》の変化の時と言うべきなのか、終わりにすべき時と言うべきなのか、正直言って迷う。無価値であるとは全く思わない。多くの人たちを支援して来られたのも、私一人の力では到底無理だったけれど、全国の人々からの善意のカンパが集まるお陰だ。何十万円も支援を受けてきた人すらいる。

本音を言えば、支援されなければ保護が出来ない個人の活動など、続けるべきではないと思っている。それは他人に迷惑を掛け続ける事に等しい。やむを得ず、一時的に許容量を超えてしまう事はあるだろう。そういうケースに一時的に支援するのが目的であって、特定の個人のスポンサーになる事は避けたい。私を信用して私に使途を委ねてくれている支援者の気持ちに応える為にも、自分の判断のバランスが狂うのはまずい。

なかなか会計報告が更新出来ないままでいるけれど、自分でも、やれば直ぐなのだと思う。振り込み控えは全て取っておいてあるので、それをスキャナーで取り込めば良いだけだ。一切不透明な支出はないし、通帳の明細も、最悪は打ち込まずともスキャンして掲載すれば良いのだ。私が自分の野良猫のエサ代や避妊に一切その基金から遣わない事は、お解かりいただいているはずなのだが、改めてそれを質問されたりする事があるとガックリする。遣わなくて当たり前なのだ、趣味・道楽でしていると明言しているのだから。

《猫の手倶楽部》閉鎖を宣言したら、色んな方からメールを戴いた。ひとつひとつ、有り難く拝読した。気持ちはまだ揺れているけれど、暫くは考えられない。これまでに何人もから、そして何度もNPO化する事も勧められたが、私が決してそれをしないのには訳がある。自分のリスクだけで意志決定出来ないような事はしたくないのと、人間同士でいざという時にガタガタしたくないのと、人の助けを借りてまでの身のほど知らずの事をするつもりもないという理由と、仕事になんかしたくないという事だ。

私はこうちゃんや猫たちと出会い、共に生きるようになってこの上ない心の安定を得た。誰が何を言おうと、最高に幸せだと思う。だからこそ余裕が出来て、その余裕でしているに過ぎない。仕事や生活を放り出してまでするようなボランティアはしたくない。ボランティアが目的でもない。ましてや仕事でもない。余技ではあるが、自己顕示・自己表現・自己実現の場を自分の趣味の範囲で作っているだけなのだと言うことを、敵も味方も知っておいて欲しい。

私は神様でもスーパーマンでもない。誰かの為になど、こんな苦しい作業の続くサイトは続けて来られなかったのだから。全ては自分の心の満足と楽しみの為。それを超えたもの、人に指図されてする事、人の手を借りなければ出来ない事は、自分の道楽には取り入れられないだろう。しかし《猫の手倶楽部》は少し意味合いが違う。これは完全に頑張ろうとしている他人の為。するとどこまで人の善意に頼って良いのか、いまだ判断がつかない。

時間を下さい。考えたいと思います。今回、協力を申し出てくれた人達ときっかけを与えてくれた人には感謝します。

テト

もう大人

Feb. 23, 2004

テトが遂に大人になった。リマにマウントして、悲鳴を上げさせる日々が続いている。今夜、去勢の為に病院に連れて行った。心細げに鳴くテトを車で運び、写真のふてぶてしい表情とは打って変わって訴えるような哀れな目で訴えるテトを置いて来るのは、なかなか辛いものがあった。明日の晩、お迎えだ。頑張れテト。ここまでよくぞ育ってくれたね。

さて、最期になってしまったけれど、交通事故に遭って保護され、片目を失いエイズキャリアでもある「キンタロウ」君のSOSを、本日立ち上げた。これから1ヶ月、大学生の保護主が入院費を負担しながらの里親探しは、相当の覚悟が要っただろうと思う。私はこの保護主を全面的に応援したい。皆さん、どうか宜しくお願いします。

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