ジーコ

Feb. 25, 2004
2004年2月25日 水曜日
マルコは大分、落ち着いてきたのか、今朝はしきりに甘えた声で私に呼びかけていた。ケージから出してやると、ダイニングテーブルの上へとゆっくりトコトコ(実際には、3本足の為「ゴットン、ゴットン」とだが・・・)と歩いて行った。抱っこしても嫌がらないし、人の顔を見ては可愛い顔で鳴く。何しろ甘えたいようだ。ケージのベッドに戻してからも、身体や頭を撫でながら色々と話し掛ける。

朝は何かと忙しいので、そろそろ出掛ける準備をしなくちゃ・・・と思って撫でている手を引っ込めると、素早くその手にパンチする。爪は出していないので、痛くない。つい楽しくて、何度も撫ででは引っ込めてパンチして貰った。年月がかかってもいいから、堂々と大らかに茶トラらしく明るさを取り戻して欲しい。

1匹で飼ってあげられれば幸せなのかという考え方も、当然あるだろう。しかし私はそうは思わない。うちのどの猫を見ていても、やはり仲間が出来た事で心の成長があった。それは愛する飼い主ですら割り込めない程に、同種の深い絆で結ばれているようだ。

1年半以上続いたゴマの心やホルモンの不安定さは、仔猫のジャムを迎えた事で一瞬で解消してしまったし、暴れん坊ジャムは、最初だけちょっと威嚇したものの、遂にマルコを心から受け入れた時には、あたかも自分が産んだ子のように可愛がっていた。

ルス・リマはテトが来た事で、「ルスリマ爆撃」としか表現しようがない位にお転婆だったのが、一気に母性に目覚めたのか、我こそが母親であるとでも言いたげに寄り添って守っていた。噛んで噛んで仕方なかったペリーは、イオのお陰で噛み癖が治ったばかりか、イオを同腹の姉弟のように慕っている。

一番猫嫌いなアインですら、月日を経て、ジーコやマルコに対しては寛容さが出て来た。これが単なる本能の成せる業であるとは考え難い。諦めて受け入れ、学習していった結果、受け入れられる事とそうでない事をちゃんと心の中で判断しているように思える。だから、たとえ今、一時的にマルコがジャムを怖がっていても、これが永久に続く事だとは思わない。二人はまだ若い。これは一時的な不安定でしかないのだと信じて、このまま同じ部屋で暮らさせようと思う。

但し猫たちに対しては、今まで以上に神経を遣ってやらないといけないだろうね。アインは相変わらず予断を許さないし、ジーコとて決してもう安心という状態ではない。リマも今朝から咳が出ているし、レンとタムはまだ回虫が駆除しきれていないのだろうがウンチが緩い。カワムラさんの副鼻腔炎もあまりに調子が悪ければ、プロポリスやたまに処方するアイオニックシルバーだけでなく、獣医での対処療法も考えてやらないといけないだろう。

こういう風に病気や精神的なトラブルが出てくると、15匹を充分にケアしていく事は、覚悟していたとは言えなかなか大変だ。こうちゃんの全面的な協力があってこそ、そして私としても仕事と最低限のご相談や更新以外は不義理を重ね尽くす事で生み出す時間と金があってこそ、初めて成り立つ事だ。多頭飼いしているからと言って、いい加減な事はしたくない。健康管理と食べ物には金を惜しまず、愛情と手間をかけて育ててこそ、うちのアイドルたちは綺麗にのびのびとしてきたのだ。

今朝、ラボの猫たちにご飯をあげてから研究室でお茶を飲みつつ(始業前だから優雅である)、ご飯の容器を片付けに外に出たら、出勤して来たマツモトさんが猫たちの写真を撮っていた。マツモトさんというのはラボの人間ではなくて、先週からラボに出向して来ている京●大学防●研究所の研究員だ。とても感じの良い人で、私は好きだ。表情が明るいし、反応が早い。人に気を遣わせない。短期出向ではなくて、ずっと居れば良いのにな。

「猫、お好きなんですか?」と聞くと「うちにも1匹いるんです」とマツモトさん。8ヶ月の人間の赤ちゃんがいるので、それ以上は増やさないみたいだ。1匹しか飼っていないと知ると、ついお友達を勧めてしまう。ラボの野良猫にエサやりと避妊をしている事をちょっと広報(!)した後、今朝のNHKのニュースでも見た「産総研」の「未知ウィルス攻撃に対する検知・回避技術の研究開発」の話をした。同様の研究はこれまでにもあちこちで成されているようだし、情報を公開すればまた裏をかこうとする人間は必ず出てくるのだろうね・・・とか何とか立ったまま話していた。猫好きと知って、ますますマツモトさんの株は上がった。

夕方、原稿を所長にチェックして貰う間、外に出て研究員のコダマさんと雑談していた。月の下の方に金星がひときわ光って見えた。星の話題になり、「どうせいつかは(地球も)なくなっちゃうんだものね・・・」とコダマさん。「いつかは滅びるのに、地震の被害推定もへったくれもない・・・って?」と私。笑いながら研究室に戻った。

コダマさんはとても穏やかで、のびのびと育った感じがする女性だ。色々と相談しながら仕事が出来るので、とても有り難い存在だ。職種は違っても、チームで仕事が出来るっていいね。一人では成し得ない事が、チームだと出来る。それは醍醐味であり、癖になる感覚だ。

そして今日も残業。帰ろうとすると、暗闇でみーちゃんが待っていた。背中を丸めて、擦れた高い声で鳴いて甘えてみせる。但し触ろうとすれば逃げる。昨日、一瞬の隙をついて抱き上げた。そのまま抱っこされそうな雰囲気だったのに、仕出し弁当屋の軽トラックが来て、驚いて飛んで逃げてしまった。

帰りは遅い時間だったのに、ひどく道が混んでいた。25日だったせいかな。渋滞している道を、色んな事を考えながらハンドルを握っていた。考えがまとまった案件もあれば、そのまま熟成するまで思い続けている件もある。無理はしないようにしよう。自然と心が動く通りに任せてみるのもいいだろう。それは感情に流され衝動に衝き動かされるという事ではない。自分の中で時が満ちるのを待つという事だ。

あれかこれかの選択に迷った時は、美的な選択をせず倫理的な選択をしろ・・・と父親がいつも言っていたが、美的な選択の中には自分の美意識に適う選択であるという事も含まれるだろう。だとしたら、キェルケゴールの言葉は虚しいな。自分の美意識即ち自分の倫理なのだから。

黒岩さん改めニャジラの写真がまた届いた。小さなベッドに下半身だけ入って、上体だけ見ると「猫人間」のようで笑える。そしてキョダイなベッドも買って貰ったらしい。ニャジラが大きく見えないほどのベッド。「里子に出した仔猫達が使ってたペンギンのベッド・・・すごく小さい様に思いますが・・・・・川口さんが持たせてくれたベッドも使ってます。大きいベットもあるのですが何故か小さいベッドがお気に入りの様です。」という事だ。そして可愛い追伸。「タムちゃんの写真を見て、次男はニャジラだと思っている様です」



Feb. 25 2004

帰宅してマルコの様子を見ると、ケージ越しにジャムとパンチの応酬をしている。「ジャム、こっちに来なさい」と声を掛けて振り向いたジャムの後ろ姿に向かって、ケージの隙間から手を出してマルコのパンチが出る。マルコもどうやら怯えているばかりではないようだ。遊びたいのはマルコも同じ、但し分(ぶ)が悪くなると、泣いて駄々をこねる弱虫坊主という事なのかも知れないな。

ともあれ、時々ケージに避難させつつ、レメディも続けながら様子を見よう。悲観しても始まらない。いつも里親さん達・相談者達に言っている事だ。どんな問題も、いつかは笑い話に変わる・・・と。実際そうなのだし。

さて、SOSのキンタロウの新しい写真が届いた。眼球を摘出した訳ではないが、目は縫い合わされてしまったようだ。これ以上化膿すると、摘出もあり得ると言う。そうなると、こちらのボランティア病院に転院させた方が良いかも知れない。明日からは里親募集のポスターも印刷する予定。乞うご期待です。

撫でると直ぐにゴロゴロするキンタロウ。
元気一杯だから、病院では退屈。
誰か、おうちに迎えて下さい。

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