カワムラさん
うとうと
May. 22, 2004 |
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2004年5月22日 土曜日
今日は、おニャアニャンが名古屋までグレちゃんを迎えに行く日だった。小泉首相も、北朝鮮に拉致家族返還の交渉に行ったけれど、私にはグレちゃんの方が重大イベントだった。グレちゃんはうちに来るかも知れない猫だったが、おニャアニャンが苦労を肩代わりしてくれたのだ。しかし苦労と引き換えに、大きな幸せも貰えるはずだ。という事は、幸せを譲ったとも言えるな。おニャアニャン有り難う、そして感謝しろよ。
トップシーズンだけあって、避妊の為の捕獲と「保護しちゃったんですけど」の相談が多い。ついでに脱走が多いのも、今年の特徴だ。暑くなるのが早かったせいか、窓の鍵と心の鍵が緩むようだ。無事保護出来るまでの、飼い主や元親の心配や苦しみはいかばかりかと思う。
13歳のジーコが1歳の時、動物病院に連れて行こうとしてマンションを出た直後、往来の騒音に怯えてプラスチックのキャリーを内側から蹴破って逃げ、丸一日近く行方不明になった事は、かつてここでも書いたかも知れない。その間、幾ら捜索しても発見出来ず、人を頼んで捜索も手伝って貰ったが、兎に角全く手掛かりがなかった。土曜日だったが仕事は休ませて貰い、泣きながら探した。
万策尽きて、当時の勤め先の副社長を通じ、高名なお坊様にご祈祷までお願いして戴いた(こういう事は胡散臭いと馬鹿にする人もいるだろうけれど、そのお坊様のご祈祷は本当に霊験あらたかであると聞いていたし、私も実際にお会いしてとても尊敬していたのだった)。
一度も野良にいた事がないジーコが、一人で外で生きて行けるはずがない、ここは私が死んで霊魂となりジーコを守るのだ・・・とまで思い詰めた。もちろん馬鹿な考えだと思うが、その時は真剣だった。しかしお坊様のご祈祷の結果を電話で聞いた時、戻ってくると信じられた。「虎の子は帰る」と確かに言われた。そしてその通りになった。
夜になりベランダから夕闇の中にあてなく呼び続けていたら、ジーコがふいに返事をした。「ジーコ」「にゃあ」「ジーコ」「にゃあ」・・・こうちゃんに直ぐに1階まで迎えに言って貰い、その間も呼び続けた。
結局、逃げ込んだマンション裏にそのままじっとしていたらしく、足の裏も少しも汚れていなかった。しかしそれ以後は、キャリーは小さいと猫が全身の力を込めて内側から踏ん張って頑張れば、プラスチックの留め金などふっ飛んでしまうのだと知り、小柄な猫にも大きなコンテナを使うようになった。あんな思いをするのは厭だ。辛くて辛くて生きているのが厭だった。死に別れた方が、まだ諦めもつく。でも脱走させて迷子にしてしまったら、永久に悔いが残るのだ。
うちの子に限って・・・という油断があるのか、脱走防止の努力が足りない飼い主が多い。玄関を開けたまま、来客と応対していてすり抜けてしまった・・・などというのは、これはもう出て行って下さいとお願いしているのと同じだ。鍵がかかっていなけれれば、サッシの重い窓だって開ける。
ミュウは何度もそうしてベランダに出た。幸い我が家は、ネットを張り巡らしていたので、手摺りからすり抜ける事はなかったけれど、別の意味でベランダに出したのは失敗だった。プランターの草を食べては吐いたのだ。吐く事の弊害も勿論あるし(体内の電解質のバランスが崩れる上、吐くと消耗する)、吐いた際の誤嚥による肺炎を起こしたのだ。後年のミュウの死因は、肺炎の悪化による呼吸不全だ。私の不注意と無知が、ミュウの命を縮めたのだ。
どうか、油断しないて戴きたい。飼い主の不注意が、取り返しのつかない事故や病気に繋がるのだと肝に銘じていて欲しい。迷子にして泣きながら足を棒にして、それでも無事保護出来ればまだ良いけれど、保護出来た時には妊娠しているかエイズや白血病、あるいはもっと簡単に感染するウィルス性の病気になっている可能性も高いのだ。
避妊していなければ脱走の大きな原因にもなるのだという事も、もっと自覚して欲しい。発情していれば、あらゆる努力をして外に出ようとするだろう。それほどに大きな衝動なのだから。
毎日のように寄せられる脱走の相談にも、その心配な気持ちが解かるだけに辛い。という事で、
「脱走についてのケーススタディ集」も作る事になった。辛い体験だと思うが、経験者はどうか多くの飼い主への啓蒙の為にも、投稿にご協力いただければ嬉しい。
昨日新設した
「赤ちゃんと猫の同居についてのケーススタディ集」は、これは妊娠の為に殺処分される猫を減らしたいという願いを込めて作ったコーナーだ。猫が赤ん坊にとって有害であるという無知と思い込み、そして勉強・努力不足が蔓延しているけれど、もしも口だけでなく本当に前向きに対処したいと思うならば、是非参考にして欲しい。以前ここで掲載した写真と重複するものもあるけれど、赤ちゃんと猫の幸せそうな写真がいずれも素晴らしく可愛いので、見ているだけで幸せな気分になれる。
さくらとルナは幸運にも救い出せて幸せになる橋渡しが出来た。しかし、知らないところで何万という猫が、生まれてくる赤ん坊の為に殺されているのだ。自分で手を汚す事なく、税金で殺処分して貰っているのだ。猫殺しが子供を持つのだから、考えてみるまでもなく恐ろしい現実だ。
ケーススタディを読むと、お母さんとなった飼い主がどれだけ細やかな心で猫にも赤ちゃんにも、そして回りの無理解な人間にも接しているのかが解かる。こうちゃんと二人で、唸ってしまった。素晴らしい内容だった。好んで子供を持たない人生を選んだ私ですら、引き戻せるものならば人間の子供も持って猫好きに育てたかったものだとちょっとだけ思った。
しかし私では駄目だろうな。親が違う価値観で余計な口出しなんかしようものならば、面倒臭くて縁を切りかねないからね。母親としては失格だ。不寛容な母親は、子供に良い影響を与えられるはずがない。私の子供だったら、そりゃあ生意気で利発で器用で気が利くだろう。しかしさぞかし厭な子供だろうな、私が子供だった頃と同様に。そんな子供は私と同じ苦労をするだろうと思うと気の毒で、作らなくて良かったと負け惜しみを言ってみる。
ゴマはシッコ攻撃が続き、かなり苛々しているのが解かる。アインやマルコにまで手を上げようとする。どうしてやれば良いのか。洗濯すれば済むだけだったら幾らでもする。しかしゴマの気持ちを何とかしてやれないのでは、飼い主としては失格だ。レスキュークリームを耳の内側に塗ったり、出来るだけスキンシップを試みているのだが・・・。
ゴマ
苛々
May. 22, 2004 |
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