ペリー

丸い目

Oct. 31, 2004

2004年10月31日 日曜日

ガラの避妊手術の予約をお願いしてあったので、二人掛かりで苦労してケージからキャリーに移し、1時近くにようやく連れて行った。先生には、麻酔を打つまでの間に呉々も逃げられないように注意して下さいとお願いする。一旦逃がしたら、建物の外には出なくとも、もう捕まらないだろうから。

最近では撫でさせゴロゴロと甘えた音を出すようになったとは言え、私達ですらガラを素手でキャッチする事は出来ないのだ。ケージで過ごさせるのも限界に来ていたが、ケージに入れておかなかったら今日は到底捕まえられなかっただろう。本当に大変な大仕事だったんだから・・・。ガラはキャリーの中でブルブル震えていた。これでまた少し逆戻りしてしまうだろう。

最悪の場合はもう2度と捕まらなくてワクチンに連れて行けなくとも、避妊が済めば室内に開放してやれる。タムもみーちゃんも捕まらないだろうし、中にはそういう子がいても仕方ないと思う。それでも野良に置いておくよりずっと安心だ。あとは栄養のある良質なフードを与え、のびのびと暮らさせる事が出来れば、思う事が全て出来ずとも良しとしなければ。

殆ど出掛けられないものだから、先日来ポツポツとレンタルビデオで映画を観ている。返却時に次の3本位を借りて来るのだが、1週間で3本を観るのはちょっと厳しい。元気だったら一日で3本でも観られるはずなのに、今は睡眠不足で「映画観るなら目を閉じて横になりたい」ような状態だ。二人が同時に起きているのも勿体無いような気がするのだが、楽しみや気晴らしも必要だと思って、観ても良いかな・・・と思えるものを探して借りて来る。

しかし実際には、「つ●や」にはろくなレンタルビデオが揃っていないと感じる。店内もうるさくて落ち着かない。『真実の行方』で映画デビューし、先日から何度か話題にしたエドワード・ノートン主演の作品を2本ほど観た。一本は『レッド・ドラゴン』で、ハンニバル・レクター物の3本目。FBI捜査官をノートンが演っていたのだが、別に彼でなくても良いような作品だった。

もう1本は『アメリカン・ヒストリーX』だ。過激な内容のように思えて今までちょっと手が伸びなかったのだが、他に選択肢がなくて借りる事にした。内容はここで書くまでもないだろうが、アメリカのある町の白人至上主義と移民排斥を主張する過激な集団(ネオナチ)のリーダー「デレク」を、ノートンが演じる。デレクは父親を黒人に殺されており、後で解かってくる事だが、その父親こそが狂信的な人種差別主義者でもあり、普通のおとなしい優等生だったデレクの心の根っこにその種を蒔いたのだ。

ネオナチのカリスマ的リーダーであった時の彼は、スキンヘッドに口ひげをたくわえ、これまでの撫で肩のやさ男のイメージを覆すマッチョに鍛えた身体(10キロ体重を増やしたそうだ)には刺青だらけ。しかも主義など持たずにただフラストレーションを抱え若いエネルギーをもてあましているだけの仲間を狂信的な行動へと導く時は、なかなかのアジテーターぶりを見せる。

ある晩、黒人の車泥棒に自宅の車を盗まれようとしていた時、ガールフレンドとのセックスの途中でパンツだけ穿いて家を飛び出し、一人はピストルで撃ち殺し、一人はうつ伏せにさせ歩道の縁石を噛ませた状態で首を踏みつけてへし折る。警察が駆けつけて逮捕される時の、目の前で兄が人を殺すのを見てショックを受けているミドルティーンの弟に向かって見せる不敵な笑い(写真右)が印象的だ。

弟は輝けるヒーローであった兄を逮捕後ますます尊敬し、兄の3年間の服役期間中に同じようにスキンヘッドにして、ハイスクールへと通いながらネオナチの組織へも出入りするようになっていた。その学校でのレポートにヒトラーの『我が闘争』を選んだりして問題視されているのだが、書き直しを命じられて一晩で書き上げたレポートがこの映画を形作っていく構成だ。

その弟「ダニー」を演じるのがエドワード・ファーロング。どこかで見た事があると思ったら、カップヌードルのCMにも出ていたけれど、『ターミネーター2』でサラの息子のジョン・コナーの少年時代を演じていたあの子だ。

突っ張っている役柄とは言え、映画の中でやたらと煙草を吸うのが気になったが(彼らの母親もまた、ニコチン中毒で病気であるという設定だ)、その後のファーロングはアル中・ヤク中でボロボロらしい。この時点でもかなり痩せてやつれていると感じた。そのままでアウシュビッツものでも充分演れると思う。悩みを抱えた繊細な役をやらせたら天下一品だろう。どちらのエドワードもなかなかの役者だ。

さて、白人至上主義だったデレクは、刑務所での辛い日々の中で「憎しみでは心が救われない」事を身を以って悟り、自分の過ちに気づく。

それを気づかせたのは、刑務所内での危険での孤独と恐怖の中での経験だ。そこでは黒人こそが多数派で「力」を持ち、ネオナチである事が見え見え(何しろハーケンクロイツの刺青である)の彼などいつ殺されてもおかしくない状況にあった。

同じ白人の囚人たちには屈辱的な暴行を受け、刑務作業の中では思いがけず一人の黒人青年との間に友情が芽生えていった。そして彼が黒人の囚人たちに襲われずに済んだのは、実はその小柄な黒人青年(少年に近い)に守られていた事に出所間際になって気づく。

そうした苦難の3年間を経て、元々は心の優しい若者であったはずのデレクは、自分の弱さが家族を不幸にしてしまった事を悔いて償いをしようと決意する。TVを盗んだだけで6年もの刑を食らった黒人の友よりも、人を二人も殺した自分の方が早く出所出来るという不公平も知る。黒人がいかに差別され不当な扱いを受けているのかを改めて知った時、かつての自分がその迫害の急先鋒であった事を恥じただろう。

この物語の大半はダニーのレポートとして彼の口から語られる形をとっており、ネオナチだった頃のデレクは弟の回想として描かれている。服役中の出来事はデレクが弟に語る回想として描かれ、いずれの回想部分もモノクローム映像で見せる。現在のパートのみカラーである。改めて白黒の映像の美しさを感じる機会を得た。光と影のコントラストが、カラーの時よりも遥かに雄弁に内面を語る。

回想場面でノートンは、父親には殆ど口答えもせず、おとなしい優等生だった高校時代のデレク(写真左)も演じて見せる。同じ役者が全く異質な3通りの役を演じ分けており、これぞノートンの真骨頂だろう。

亡くなったデレクの父親こそが息子に人種差別の種を植え付けたと書いたが、朝食のテーブルで激しく息子を洗脳する回想場面が弟ダニーのレポートの中で語られた。

父親は、affirmative action (アファーマティブ・アクション・・・アメリカ合衆国で企業・団体・学校が、人種・出身国・性別等を理由とする雇用・教育上の差別を行わないだけでなく、差別を受けてきた黒人(アフリカ系アメリカ人)等の少数民族や女性の社会的地位の向上のために雇用・教育に関わる積極的な優遇措置をとること、または連邦政府の施策や法廷の命令により、企業等に対してそのような措置を義務づけることを指す。一言で言うとマイノリティ優遇政策である)に強い反感を持っており、移民や黒人などのマイノリティによって白人の仕事が奪われていると嘆き、黒人教師を尊敬し人種平等を学んでいる息子を力ずくで自分の側に引き戻そうとする。

理屈では今ひとつ納得出来ずに困惑していたデレクであったが、その直後父親が黒人に殺された事が人種差別への引き金を引いた。

父権社会であるアメリカでの、息子に対する父親の影響の強さを窺い知るエピソードであった。しかもデレクの父親の仕事は消防士だ。父親自身もその仕事に誇りを持っていたであろうし、少年である息子たちにとっては人生で最初に出会ったヒーローであったはずだ。その父親が「絶対」であっただろう事は容易に想像がつく。

アメリカに限らず、まともな家庭であっても、親が子供に与える影響が大きいという事は私自身でも実感している。親の呪縛から抜け出すまでには、私だって時間を要した。自分自身の失敗と努力の歴史が出来てきて初めて、私は自分が見えて来た。それでも血の中に色濃く存在する親の性質は消せないし、まあそれはそれで別に忌み嫌う程の悪しきものでもないのだが・・・。

これでノートンの出ている映画は4本観た事になる。あと観ておきたいのは『ファイト・クラブ』くらいだが、「つ●や」には無かった。本当にろくなビデオがないのだ。「話題の新作レンタル開始!」なんてのが山ほどあって、ちょっと気になる作品が軒並み置いて無い。客層が違うのだろうか。買うしかないのか。

テト

梁の綱渡り

Oct. 31, 2004

連日同じ事を書きたくないが、ジーコもアインも嘔吐が続く。吐いたものを嗅いでみると、2匹ともに同じ刺激臭がする。胃粘膜の保護薬も与えているのだが、それ以上に毒素が強くなっているようだ。明日の朝ガラを迎えに行く時、ジーコは治療に連れて行くのだが、アインも輸液を始めた方が良いのかも知れない。

今月の医療費は20万近くになる。それとは別にキドナで10万近い。稼ぎの多い時に預金しておいて本当に良かった。みんなも無駄遣いせずお金を貯めておかないと、いざ病気の時には困るよ。服なんか買わず、美容院なんか行かず、化粧品なんかにお金を遣わず、不時の出費に備えておかないと。猫の老後はお金が掛かる(事も多い)んだよ。

と言いつつ、今月は鯖寿司だ、PCkモニターだ、猫の冬支度だと、色々買い物したっけなあ・・・。電子レンジもそろそろ買い換える必要がありそうだし、冷蔵庫はいつまで保つかな。

前日の「猫雑記」へ 翌日の「猫雑記」へ


月別INDEXへ戻る

「猫雑記」INDEXへ戻る

inserted by FC2 system