2005年1月4日 火曜日
今を去ること30余年、私が高校生の時、同級生のネギシ君が腎臓病だとかで入院した。
同級生と言っても私は女子高だから、中学校の時の同級生である。彼は生徒会の副会長の後で会長を務め、私は2年間会計(注1)を務めていたので、比較的仲良しだった。電車で偶然会えば、改札を出てから一緒に道々歩く程度には仲良しだった。
うちの隣にも中学校の同級生の男の子が住んでいた。ハヤカワ君といった。ハヤカワ君が、お見舞いに行こうかと言うので、一緒にネギシ君の家まで歩いて行った。暑い夏の日だった・・・ような気がする。
家に着いて「ごめんください」「こんにちは」と繰り返すが、なかなか人が出て来ない。洗濯機が盛大な音をたてているのが聞こえた。暫く呼び続けていたら、やっとお母さんが出て来て、私達をリビングに招き入れてくれた。
ネギシ君が色白で繊細な感じの男の子だったので、初めて会ったお母さんがちょっと変わった雰囲気の太ったガサガサした人なのに内心驚いたのも覚えている。
応接の長椅子に腰掛けて待っていると、やがてネギシ君が自室からのっそりと出て来たかと思ったら、お母さんがブクブクともの凄い泡の立ったグラスを持って来て私達に勧めてくれた。
多分それはクリームソーダだったのだろうと思うが、白濁した液体が少し見えるだけで、あとは殆どが見事な白い泡だった。(注2)
ハヤカワ君と私は思わず顔を見合わせてしまった。どんな味がしたのか覚えていないが、帰り道で二人笑いを堪えながら同じ事を感じていたのを確かめた。つまり、あの時洗濯していたのを知っていたから、そこから泡と洗濯液を掬い上げて来たのかと思ったのだ。それ位、そのコップの中身は洗濯機のブクブクと似ていたし、お母さんもちょっと変わって見えたのだ。ごめんなさい、ネギシ君のお母さん。
何が言いたかったかと言うと、高校一年生でも腎臓病で長期間入院するなんて事があるんだな・・・とふと思い出したのだった。勿論、小児性のネフローゼとかがあるのだから不思議は無いのだが、自分がまさか腎臓疾患になるなんて当時は想像も出来ず、ネギシ君はインスタントラーメンが好きでラーメンばかり食べていたらしいなどと、隣のハヤカワ君のお母さんが話していたのを真に受けていたと思う。
私はあまり身近に病人がいなかったし、私自身も小学生の時にアデノイドの手術位しか経験した事がなかったし、インスタントラーメンが原因かどうかなんて事よりも、兎に角腎臓病なんてものがどういう病気なのかさっぱりイメージ出来なかった。
学校へ行けないのは気の毒だと思ったけれど、病気そのものに対して労る気持ちなんか持っていなかったような気がする。地味な病気だけど、結構辛いよね、腎臓病。
そしてインスタントラーメンなんか好きじゃなくても、腎臓をやられる事もあるって身を以って解かったよ。ごめんね、ネギシ君。まだ生きてる?もうすっかりオジサンだろうね。私もオバサンだけど。 |
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今日の昼間は、小春日和でとても暖かかった。郵便局と銀行に行く用事があったので、10時頃家を出た。ジーコがまた吐くようになっているので、給餌と給餌の間にお茶を飲ませる為、1時間以内で戻って来なければならないのだ。しかしこういう急いでいる時に限って、郵便局の窓口の担当がもの凄く時間を掛けて待たせてくれた。
空いていたのに、結局混んでいる時と同じ位に時間が掛かってしまった。東急の食品売り場で急いで2千円分の食品を買い、駐車場代をタダにした。パンとチーズ、ソーセージとベーコン、それから豆腐と油揚げとザーサイとで2千円をちょっと欠けたのだが、レジの女性は親切にもそれで駐車券をチェックしてくれた。有り難う、お姉さん・・・と言っても私よりずっと若いと思うが。 |
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強制給餌があるから長時間外出が出来ない・・・と嘆くよりは、元々家の中で楽しむのが好きだったのだから、目一杯それが出来る幸せを享受しようと思う。その手始めが「お茶」を楽しめる事だ。
お茶をよく飲む家庭で育ったし、実際お茶が好きな割に、家に居る時間が少ないとおちおちお茶も飲めない生活が続いていた。お茶を淹れるという事は、ひとつのセレモニーでもある。それは心の余裕を取り戻す為の儀式なのだ。だから人々は器にも凝り、セレモニーを演出する。
一番好きなのは日本茶だが、薄いお茶は好きではない。ここに同居したばかりの頃、せめて週に一度は一緒に食事しませんか?と年寄りに持ちかけて実行していた。食後に姑がお茶を淹れてくれるのだが、それが出涸らしで薄かった。一口飲んでそのままにしておくと「お茶は飲まないの?お茶は身体にいいのよ」とイヤミを言われた。「薄いお茶は嫌いなんです」とは言えないので、曖昧に笑ってやり過ごした。
お茶っ葉は、毎回取り替える位の贅沢をしても良いと思う。他に幾らでも無駄な事をしているのだから。湯の温度まで丁寧に見て、じっくり淹れた緑茶に勝るものはない。
ところが最近、紅茶にもはまった。去年あたりからの事だ。ラボでアライさんと二人、日に何度か紅茶を飲んだ。いつもアライさんが丁寧に淹れてくれていた。二人で協力し合ったエサやりの次に良い思い出だ。
昔は紅茶が嫌いだった。何だか泥水を飲んでいるような感じで、ただ渋かった。多分、紅茶自体も良くなかったのだろうし、淹れ方もまずかったのだろう。だから日本茶ばかり飲んでいた。
紅茶に目覚めたのは、ヤマトママからの紅茶の贈り物がきっかけだったような気がする。それはスパイシーでフルーティなフレーバーティだったのだが、ある日その香りと味がその時の気分にピタッとはまった。それ以来、色んな産地の紅茶、色んなフレーバーの紅茶を買い集めた。
その結果、朝ご飯がパンの時に淹れるミルクティでは「アッサム」を濃く淹れて、冷たい牛乳を入れたカップにたっぷり注いでガブガブ飲むのが常となり、もう少し時間と心に余裕がある時は香りの良い紅茶を選ぶようにしていた。今は中国紅茶の産地「祁門(キームン)」の「クイーンズキームン」が気に入っている。ほのかに甘い香りがして(注3)、ミルクティでもストレートでも美味しく、カフェインが少ないらしい。
他にも古典的なフレーバーティのアールグレイやラブサンスーチョンも飲むし、様々なドライフルーツやスパイスをブレンドしたモダーンなフレーバーティだって飲む。時にはプーアール茶やジャスミン茶も飲むし、台湾の高山茶も好きだ。ダージリンのファーストフラッシュ(まあ、新茶だな)も年に一度は買うし、ルイボスティも飲む。
こうちゃんと二人でお茶を飲む時間がとれる事が、とても嬉しい。やっと二人きりで過ごせる日々が訪れた。この日々が少しでも長く続かん事を・・・。 |
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最近の秀逸なCM。アメリカン・エキスプレスのCMで、冷え冷えとした画面でロバート・デ・ニーロがNYの町を歩いている。その表情もナレーションの声も渋くて素敵だ。
珍しく素晴らしいCMだと思ったら、監督はマーティン・スコセッシだそうだ。CMとしては凄いスケールだろうと思う。流石はアメックス・・・世界を股に掛ける金貸し(身も蓋も無いが)だ。
この監督とこの名優の組み合わせで撮られた映画は、ざっと思い出すだけでも『タクシー・ドライバー』や『レイジング・ブル』、そして『ケープ・フィア』・・・まだ他にも幾つもあるはずだ。どれもデ・ニーロがあまりにも個性的に使われていて、ここまでしなくとも充分に上手さが伝わる俳優なのに・・・でも面白いけどね。
音楽も凄く良い。これはフィリップ・グラスの曲だ。映画『Mishima』のサウンドトラックから『1957: Award Montage』(←ここで視聴出来る)のアレンジ・バージョンのようだ。
役者と演出と映像タッチと音楽・・・総合的に芸術度の高いCMに仕上がっている。きっと好きな人は多いだろうと思う。私も、ビデオに録画しておいて何度も観たい位に好きだ。でもいつ放映するか予測がつかないのだ。アメリカン・エキスプレスともあろうものが、大金掛けたCMのインターネット配信をしないのだろうか?勿体無いね。 |
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ペリー
仔犬みたい
Jan. 4, 2005 |
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幸せな事に、募集開始してから3ヶ月有余・・・ムゲンの里親さんが内定しつつある。いや、本当はもう「決定」としても良いのかも知れないのだが、一応は10日のお見合いまでは発表を待とうと思う。間違いのない相手だし、色々と縁の深い相手でもあるので、関係者はみんなハッピーになるはずだ。
お見合いの当日は、またうな重の出前をとるらしいが、残念だけれど私は行けそうもない。うな重と六花の為だったら万里の道をも厭わないが、如何せんジーコがまた調子を落としているので、今は家を離れられない。 |
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