デューン 砂の惑星 -DUNE-

カイル・マクラクランでもうひとつ。

SF小説ファンだったら皆知っているであろうフランク・ハーバートの大ベストセラー《デューン》シリーズの一部を映画化したものである。「デューン 砂の惑星」は、並はずれた複雑さを持つ小説であり、映画化に15年の歳月を要したというのは当然と言えるだろう。SFXなどの特撮技術は兎も角、何よりも脚本化に相当苦労したのではないだろうか。

舞台は宇宙規模でありながら、権謀術数入り乱れる中世の宮廷劇のようでもあり、ベネ・ゲセリット教団という宗教結社の作り上げた(待ち望んだ)ポール・アトレイデスという救世主の物語であり、ラブ・ストーリーでもあり、乾ききった惑星での生存を問うエコロジーがテーマでもある。これ以上の説明は、とても出来そうにありません。小説自体も大変面白いので、是非ご一読下さい。膨大なシリーズですが。

救世主となるべきポール・アトレイデスを演じているのが、当時新人だったカイル・マクラクランだ。高貴な顔立ちは、アトレイデス侯爵家の嫡子として生まれ、やがて未来を予知する能力を持ち、救世主として成長していく主人公にぴったりはまる。「ヒドゥン」でも書いた事だが、国籍・年齢不詳の雰囲気を持つ、堂々たる貴公子ぶりだ。監督デビッド・リンチとのその後の長いつきあいは、この作品に始まる。

他にも名優マックス・フォン・シドーやホセ・フェラー、シルバーナ・マンガーノ、「Uボート」のユルゲン・プロホノフ、当時まだ「ポリス」のメンバーだったスティングもキャスティングされた、渋めの顔見世興行でもある。尚、プロデューサーのラファエラ・デ・ラウレンティスは、かの大プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティスとその妻にして女優のシルバーナ・マンガーノの娘である。


原作 フランク・ハーバート
脚本 デビッド・リンチ
監督 デビッド・リンチ
制作 ラファエラ・デ・ラウレンティス
提供 ディノ・デ・ラウレンティス
音楽 TOTO/ブライアン・イーノ
1984年
アメリカ映画


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