《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》猫の為の情報

脱走と脱走防止のケーススタディ集
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case 1 野村家の脱走防止策 ←当サイト推奨です
よそから里子に迎えた猫でも、野良だった猫でも、長い年月外へ出たがったことのない飼い猫でも、絶対に完全な脱走防止対策は必要です。

この信念に至ったのは、川口さんも私もこれまで飼い主の不注意で一瞬の隙に脱走させてしまい、悲しく苦しい経験をされた事例を本当にたくさん見てきているからです。

大切な家族の一員である猫がある時突然脱走してしまい、それっきり行方不明になってしまったり、発見された時には無残な姿になっていたということが後を絶ちません。里子に行った猫がまだ日も浅いうちに里親さんのお宅から脱走してしまったということも実際にはとても多いものです。

そのような悲劇が起きぬよう、必ず脱走の可能性が少しでもある箇所には、目に見える脱走防止対策が必要です。



脱走防止対策はご自宅の構造などによっても多少工夫や配慮の仕方に違いも出てきますが、飼い主がきちんと危機感を持ってご自宅内の隅々まで気を配り実施してくだされば、必ずどなた様でも完全なものとすることができると考えています。

また、その目に見える手で触れる徹底した対策が無駄になってしまわぬよう、ただのお飾りになってしまわぬよう、同居家族がある場合は家族皆様全員が脱走防止対策の必要性を認識され、危機感を持たれ継続していく意志が必要です。

このことは里親になって下さる方にお話させていただく機会がある度に、私が自分自身にも繰り返し言い聞かせていることでもあります。



我が家はマンションなので、一軒家に比べると窓が少ないと思いますが、現在、掃き出し窓にはパーテーションを取り付けています。網戸の上部にスライド式のロックを付けた上でパーテーションを取り付けています。


まずは玄関前のパーテーションです。市販のパネルと突っ張り棒を使ってこんな感じに作っています。
閉じたところ

開けたところ

パーテーションの留め具のアップですが、これは猫がガチャガチャやるようになったのでいずれ外してしまうと思い、先日違うものに付け替えました。

現在は2箇所に鍵を付けていますが、猫の手が届かない場所によってはこんな形も使えるかもしれません。



それから、キッチンへの侵入防止策ですが、キッチンではなくて、他の場所での脱走防止策としてもこんな使い方ができるかと思います。

人の出入り口(閉じたところ) 人の出入り口(開けたところ)
留め具のアップ


パネルと突っ張り棒を留めている部分
(結束バンドで留めています)

キッチン全体の様子

窓への対策の写真がないのですが、ちょうどパーテーションを取り付けなおそうと思って先日から取り外してしまっているものですから写真が取れずすみません。(窓が開けられない生活なので早く取り付けなければと思っているところです。)


なお、パーテーションは横枠が間隔狭めで渡っている場合は猫が足場にして上まで登っていきます。窓への取り付けの場合は絶対に天井までの高いパーテーションをお使いにならないと危険です。

我が家のキッチンの出入り口がまさに上が開いています。実際そこを登って乗り越える猫が1匹いるのですが、その猫はキッチンの片隅が一番安心して眠れる大好きな場所のためあえて上を開けています。

他の猫たちはどうしても登れない様子ですので、その猫にとっての秘密の通り道ということでしばらくこの形で様子を見ています。

ただし、キッチン侵入防止を立てているとは言っても、常に猫が入ってしまって困るようなことがないようにしてありますので(食べ物を出しておかない、洗っていない食器を置いておかない、ガスコンロはロックをかけて火がつかないようにしておく、落ちて割れるような物を出しておかない等等)、秘密の通り道を良しとしておけるのですけどね。



脱走をさせてしまった飼い主さんがよく言われることに、「思わぬところから・・・」、「思わぬすごい力で・・・」というようなことがありますが、これはやはり対策に甘さがあるからだと思います。どこからも出られない、どんなことをしても出られない、というのが本当の脱走防止対策です。

猫との暮らしを初めてスタートされる飼い主さんたちには最初はなかなかイメージしにくいこともあると思います。どんな可能性があるのだろう、どのくらいの隙間をくぐり抜けるのだろう、どのくらいの力で開けてしまうのだろう等々・・・

まずは多くの飼い主さんの経験や工夫を参考にされて、それぞれのご自宅や生活スタイルに合った物・形を取り入れていくことが確実だと思います。

そうして真剣に考えていると、そこにまた一工夫必要だったり、疑問や心配事が出てきたりしますので。



私も現在の住まいでは少し前に脱走防止対策を整えたばかりです。今年2月に引越しをしまして、20匹を連れての大移動でした。この大移動、想像以上に大変だったのですが、脱走防止対策も全てやりなおしとなり、完全なかたちを作りあげるまでには何日もかかりました。

でも、いろいろ考えたり、部品を探したり、夢中で取り付けたりするのは結構楽しいものですから、いまだにもっと良い物はないだろうかとか、ここをもっとこうしたいなとか考えています。

皆様もどうぞあまりご無理のないよう、楽しみながら整えてみてくださいね。

case 2 川口家(サイトオーナー)の脱走防止策 
我が家は古い一戸建てです。

一戸建ての問題点は、開口部が多いという事・・・つまり脱走経路が多いという事です。しかし古くとも持ち家の場合は自由に改造出来るので、家の外から内から脱走防止策しまくりました。

ちょっと極端な例もあるのですが、我が家で施した脱走防止をご覧戴く事にします。



1.窓に面格子を取り付ける

夏には湿度の管理も大切なので、エアコンをつけて湿度・温度管理をしていますが、陽気の良い季節には窓を開けて外の空気を入れたいものです。

理想を言えば、開閉自在な木製の格子戸を全ての窓の内側に造る事ですが、お金に余裕が無い上、我が家はかなり広く、窓の数も大変に多いので、1枚造って10万円・・・というような格子戸を何十枚も造れないと断念しました。



そこで、取り付けが可能な窓にはアルミの面格子を取り付けました。但し、既製品の面格子では格子のピッチが大体6センチと広過ぎて、大人猫でもすり抜けが可能です。これでは猫の脱走防止には使えません。

仔猫でも頭が出ない幅で格子を付けないと、隙間から簡単にすり抜けられるのです。

理想は3〜3.5センチ間隔の格子です。そんなものは市販されていませんので、我が家の場合はリフォーム業者に依頼してアルミで作って貰いました。


下の写真は、二間幅の出窓に取り付けたものを外から撮影したところです。


牢屋のようですか?でも、室内から見ると、少しも違和感はありません。むしろ何も無いサッシのガラス窓よりも、風情がある位だと自慢しています。

緑の季節にはこんな感じ。

窓の外は日除けの葡萄棚があり、格子を通して見る緑もまたオツなものです。

これはおまけですが、桜の季節には室内から花見が出来ます。格子に違和感ないでしょう?

同様の面格子を、腰高窓や高窓には全て取り付けました。これはぶーちゃん部屋の腰高窓を外から撮影。

網戸で爪研ぎされて網が破れてしまったので、応急処置でガムテープを貼っていますが、これでもし面格子がなかったら・・・と思うとぞっとします。ここも勿論3センチピッチの特注面格子です。


2.既に取り付けられてあった面格子窓の対策


風呂場やトイレ、キッチン、洗面所には、泥棒避けの既製の面格子が付いていました。

しかしそれは縦に柵があるだけのもので、しかも格子の間隔が6センチピッチで猫の脱走防止には役に立ちません。

それどころか、面格子があるからと気が緩む原因にもなりかねません。実際、友人宅の面格子からデカ猫が脱走して大騒ぎになりました。

そこで我が家では、面格子をそのまま生かし、耐久性のあるステンレスの網を取り付けました。

下の写真が、外から見たところです。面格子と窓の隙間は2.5センチしかなかったので、両サイドと天地は塞いでおりませんが、その間隔では猫は出られませんので大丈夫です。

キッチンの出窓の面格子に張ったステンレスメッシュの様子。



天地は、網を面格子の枠に巻きつけてから、ビス留めしてあります。


左右はアルミの面格子を別の窓に特注した際の端材で補強してから、ビス留めしました。



自分でやる場合ビス留めが難しければ、面格子の枠に、針金で細かく縛り付けてやると良いでしょう。



これはステンレスの針金で編んだ網なので耐久性抜群ですし、経年・紫外線の劣化などが殆どないと思います。

キッチンの室内側から外を見た感じ。

もっと牢獄っぽく感じるかと思いましたが、ステンレスの色のせいか、殆ど気になりません。



勿論、これだけでは虫が入ってこられますので、今まで使っていた網戸もそのまま併用しています。




網戸にストッパーを付けた程度では、猫の脱走防止にはなりません。

体当たりすれば網戸ごとレールから外れて、猫は気づいた時には「外」に居るでしょう。そういう事例もたくさん知っています。

網戸はただの「虫避け」です。過信しては大変な事になりますよ・・・


3.和室の障子の枠をそのまま利用して造った格子戸

既に障子紙は破られ、桟まで折られてしまって廃物同然だったふるい障子の枠を利用して、角材を留め付けた格子戸をご披露します。

ホームセンターで角材を買って来て、障子の木枠に留め付けただけの、半手造りの脱走防止の格子戸です。


角材は、幅2センチ・厚さ1センチ。

間隔は3.5センチピッチです。

釘ではなく長いネジ釘を電動ドライバーを使って留めたので、作業は楽だし、猫も釘を打つ音と比べて怖がりません。


留め付けている様子はいかにも手造り風でお粗末ですが・・・
こうして見ると、そんなに変じゃない・・・と自画自賛しています。



このやり方は、室内の間仕切りでも応用して色々と手造りしました。真似て下さったお宅もたくさんあります。





以下に、室内の間仕切り例としてもご参照戴けます。

4.その他に出来そうな工夫の参考として戴ければ・・・

室内もいくつかに区切って、我が家では5部屋で分離飼育しています。その理由は食餌の内容の違い、使えるトイレの違い、そして排泄の管理をする為もあります。エイズなどのキャリアであるかどうかでの隔離はしておりません。

部屋を仕切るには、勿論壁と建具があるのですが、冷暖房の空気の流通を狙って、室内にも格子戸を作りました。

こちらも材料を買って来ての手造りですので、大変安上がりでした。
我が家は長年の間に建て増しして大きくなって来た家なので、元々は外壁であった部屋と向こうの部屋の間には窓が残されていました。

この窓枠を利用して、角材をネジ釘で留め付けました。角材は、3でご紹介したのと同じ、2センチ幅・1センチ厚さのものです。

この場合も、脱走不可能な3センチピッチにしてあります。

これは極端な例かも知れませんが、開ける事の無い窓でも何かの拍子でガラスが割れたら困りますから、こんな方法も簡単で有効です。

窓枠に直接留め付けましたので、窓の開閉は自在に出来ます。

但し2枚ともガラス戸を片側寄せてしまい、開口部だけ格子にしました。

古くて重たい渋い建具で、どのみち猫には開けられないのですが、念の為、窓ストッパーで固定してあります。
もうひとつの部屋との仕切りは、やはり重たい板の引き戸なのですが、それはそのまま生かして、空気の流れを作りたい時には、既製品のルーバーラティスを開き戸にしてみました。

市販のラティスは軽くて安い材木で出来ていますので、既に一箇所壊されて補強してあります。

見栄えは二の次・・・と諦めていますが、いよいよボロらになれば、取り替えれば済む事です。



元々あった柱に、大きな蝶番でルーバーのラティスを開き戸形式に取り付けました。

でもそれだけでは不完全です。
カンヌキが掛けられるよう、戸の枠に支柱となるような太い角材を打ち付けて、留め金具のデカいのを付けました。

これでしっかり締め切れます。

この扉を開けながら、引き戸を閉めながら入室すれば、飛び出し癖のある猫でも防げます。

但しここは室内と室内の仕切りなので、飛び出したところで直ぐに捕まりますが、一応家庭内野良状態の猫もいますので、やはりこんな二重扉も宜しいかと思います。

4.今後の対策と課題

我が家でも、勿論100パーセント満足出来ている訳ではありません。かなり頑強な脱走対策をたりましたので、窓を開けたまま寝ることすら可能です。但し猫も出られず泥棒も入って来られない代わりに、そこの窓からは避難も出来ないという事です。

避難対策は、また別の次元でしています。つまり面格子も付けておらず、窓の開閉もしない嵌め殺しの窓を造っておく事です。

しかし嵌め殺しの窓が割られたら不安なので、いずれそこにも面格子を特注しなければならないでしょう。



また、こういう固定型の面格子をつけてしまったが最後、外側の窓拭きは至難の業です。幸い私は忙しくて窓拭きなど出来ないから、これでも良いんだよ〜ん・・・とうそぶいておりますが、綺麗好きな皆様は、掃除用具を駆使してお掃除なさって下さい。



現在ベランダには現在猫たちを一切出しておりませんが、かつて出していた頃の転落防止・脱走防止対策をしておりました。それに関しては、また後日付け加えたいと思います。

case 3 東京都 N家の場合と脱走防止策
<脱走の状況>
我が家は5階建てのマンションの5階にあります。バルコニーは2面についていて、隣へ続くバルコニーはありません。うずら(脱走した猫、写真右)は朝7時頃、脱走しました。

原因はバルコニーのガラス戸が7cm程開いていたからです。


<始めにしたこと>
・バルコニーと室内を探し脱走した事が確実となったとき、初めに4階のお宅へ自宅の電話番号と携帯番号を書いたメモを持ってご協力をいただきに伺いました。

・次に、4階のお宅で説明をする際に猫の写真が必要だと思い、自宅へ戻り簡単な写真入りのポスターを作りました。それを持って一軒づつご協力をお願いしながら配りました。ここまでで2時間程度かかったと思います。


<保護までの準備>
2時間バタバタしながら「どうしょう」から「今日中に見つけ出す」と頭の中が整理されました。うずらが今居る場所については、以下の3点から考えました。

1.うずらの性格:好奇心旺盛、賢い、多少の人見知りをする
2.脱走ルート:階下へ降りる、自宅玄関前に回る(可能性は低い)
3.完全室内飼の猫が外へ初めて出た時の行動特徴:分からないのでアドバイスをいただいた。その結果、うずらは3、4階のバルコニーか、植え込み、遠くへ行っていても1階のマンション内の庭と考えました。

日中は怖くて出て来れないと思い、保護は夜になると思われました。明るいうちにしたことは以下の4点です。
1.捕獲器をお借りする
2.マンション内の掲示板用のポスターを作り、貼る
3.バルコニーから名前を呼びつづける(何時もと同じ声で)
4.オモチャ、ご飯、またたび、鰹節の粉を持ってマンション内を探す


<保護する>
・20時頃1階で名前を呼んでいると、遠くから返事が聞こえました。うずらの居る場所はマンション内の左半分のバルコニーと思われました。(声のする方向を1階の方が教えてくださいました)

・左半分の各階のバルコニーの近くで名前を呼び続ける、自宅へ戻りバルコニーを見て呼ぶを、繰り返しました。

・0時頃、4階の方から「家のバルコニーで鳴いている」と電話をいただきました。自宅のバルコニーから名前を呼ぶと4階のバルコニーに居るうずらが姿を見せました。4階の方も心配されてバルコニーへ出てきたため、うずらは3階の屋根へ行きました。

・うずらより下の方向から呼ぶ方が良いと思い、3階へ降りて棒の先に鰹節の粉をつけて下へ誘導し、手の届くところで抱きました。


<保護後>
・うずらの身体を見て外傷がないことを確認しました。避妊していること、マンション内に居たことから獣医には連れて行きませんでした。

・脱走の原因のガラス戸が開いていた理由は、私かうずらのどちらかが開けたと思われます。自宅に居る時にもガラス戸に鍵をかける習慣をつけることにしました。

・ご相談をした方へお礼のメール、捕獲器を借りた方へお礼と返却日時の確認をしました。

・マンション内でご協力してくださった方々へご挨拶、マンション掲示板に戻ったことを知らせるポスターを貼りました。(ちなみに、私はペット不可の分譲マンションに住んでいます)

家の換気は天窓2箇所と5センチピッチでガラスがついている小さな窓2箇所です。網戸にすることもなく、窓から猫が脱走するとは思ってもいませんでした。

今回の脱走の件とは別に、窓を開けたいので「みよこ様宅のような格子戸」をつけたいと思っていました。以前、BBSで紹介された網戸用格子もお手ごろなので検討中です。何れにしても全ての窓に脱走防止をします。

事が起こらなければ分からない馬鹿飼い主で泣けてきますが、大きな代償で何をしたのかお知らせしたいです。

脱走中は「保護する」事に集中していたので、脱走の怖さが後から湧き出てきています。心身の健康に気をつけたところで、脱走されては全く意味がないですね。


<追記>
予定より3か月も遅れましたが、希望以上の格子戸ができました。今年の夏も、窓も開けずクーラーと天窓でやりすごしました。我が家の家具を作ってくれた木工屋の友人へ『家の中に檻を作りたい』と伝え、彼のアイディアで低価格(工務店の見積もりより半分以下)で見た目も綺麗になりました。小さな窓なら自分で出来る方も居ると思うくらいシンプルな作りです。

向かって右側の戸が開きます。洗濯物などを干すのに日常的に開閉できる唯一の戸です。
小さな窓は全て格子の開閉はできません。バルコニーへ続く窓は非常用に開閉できるようにしました。
ガラス戸の開閉は横の隙間から手を入れます。(隙間は4.5cm)

<今、思っていること>
ガラス戸が開いているのを見つけたとき、一番最初に疑ったのは自分でした。
『日常的にガラス戸は開けていないので、脱走はありえない』と脱走されるまでは思っていました。
『うっかり』はある。
『うっかり』を予測して、防止するのが脱走防止なんですね。

case 4 埼玉 S.I.家の場合 
♀の老年猫 キィ を保護した際の事です。

避妊も済み、和室一室を開放し、中にケージも入れ、暫く人間に慣れてから募集をさせて戴こう、と思っていた矢先の事です。

それまでも その時点で家猫4匹を完全室内飼いにしており、それ以前にも保護猫を抱えていて同じようにしていて大丈夫だった、という経験からどこかに「まさかそんな事は起こらない」と油断があったのでしょう。ほんの2時間ばかり目を離した隙に保護猫キィは姿を消していました。

通常の4倍の強度の障子紙が破られており、その向こうのサッシの窓が開いており、その向こうの網戸がかじられていました。

サッシの窓を「きゅ」ときちんと閉めていたし網戸も外側からガムテで貼っており、簡単に爪が立たない筈の強度の障子紙‥‥。それらを全部恐らく持てる限りの力を尽くして出て行ったのでしょう。

そこまで「外」に出る事に必死だったとは。写真は脱走跡。(映ってるのは別猫です)

そこまでの気持ちを思えなかった自分と「まさか起こらない」と安心し、サッシの鍵をきちんと閉めなかった私が悪いのです。本気で必死に外に執着のある子、恐怖を感じている子はどんな手段を講じてでも出て行こうとするものなのだ、と後悔と反省の中で学びました。また、「完全室内飼い」に慣れ、自身に隙があった事も事実です。

こちらのサイトオーナーの川口さんにご相談し、暫くの間、捕獲器を掛け、置き餌も用意しましたが、餌が減っている事すらありませんでした。辛い体験でした。

キィが再び捕まったのは、約9ヶ月後の事。他の♂の子を捕獲した際、まだ外で声がするのでそっと覗いてみると、何とキィともう一匹の初顔でした。前回はなきもしなかったキィがないて捕獲した♂を呼ぶのです。連日で3匹を捕獲出来た、という仕儀。これがキィか?と思う程、スムースに捕獲器に入りました。

本当にキィが無事で良かった。待ってみるものだ、とも思いましたし、初めの捕獲の時はどうしても他2匹の元へ帰りたかったのだろう、とも思いました。

また、本当に猫は行動範囲が狭いものだ、という事も頭のいい子は捕まった場所にはなかなか戻らない、という事も、それでも近くにいてこちらを見ているのだ、諦めてはいけないのだ、という事も身体で学んだ一件でした。

懐いていなかった保護猫の場合なので家の子の場合とケースが違うか、とは思いますが‥‥。何かのご参考になれれば幸いです。

case 5 名古屋 さっちゃんちの場合 
脱走のケーススタディー 麗の場合

麗はメスで、脱走当時生後8ヶ月、一月半ほど前に避妊手術を終えておりました。(左は里子に行く直前の写真です。クリックすると大きな画像でご覧戴けます)

勿論完全実内飼いです。脱走したのは3ヶ月前に里子に行った里親宅からです。

里親宅は8階建てマンションの5階角部屋。ベランダ側ともう一方に小さめの窓があります。柵も無く、壁にいきなり有る窓です。夜この窓を網戸状態にしたまま寝ていたところ 自分で網戸を開けて外に出た様です。

ベランダ側は一度出た時に「今後絶対出ない様に注意」してもらっていましたが、窓の方は正直盲点でした。何度かお宅にはお邪魔していましたが、窓の外は見晴らしが良く 勝手に「2階建てくらいの家がある」と思い込んでいました。本当は4階建てビルで里親宅の窓の60pほど先に隣のビルの屋上があり、特に柵も無いので人でも十分渡ることは可能でした。その隣のビルにも隣接していて十分渡ることは可能、その先は商店街のアーケードの屋根になっており猫なら下りて行ける作りでした。

我が家でも窓を網戸状態にしていますが、家自体が古く人の手でも網戸の開閉は出来ません。当然家の猫たちが開ける事は出来ないので“網戸を開ける”という知識がありませんでした。

里親が脱走に気付いたのは朝10時ごろ、窓は前夜2時ごろから網戸状態だった為脱走時間はたっぷりあります。11時にはご連絡を頂いてた様ですが家の留守電に入っていて、私たちは仕事に行ってた為留守電を聞いたのは夕方。この時点で窓から出ると言う認識が無かった為「家の中に居るか、最悪ベランダだろう」と思っていました。

里親さんとなかなか連絡が取れずやっと電話があったのは夜10時を過ぎていました。このとき窓からの脱走とお隣に十分行ける事を知り事の重大さに気づきました。

とりあえず状況確認と、まだなんとなく信用出来ない思いがあったので再度家の中を捜索して頂く為 里親宅に向かいました。里親には再度徹底的に家の中を探してもらい、主人は深夜の為通常ルートからは上がれないお隣のビルに“里親宅の窓”から進入(不法進入です 確信犯です。)隣のビルとその隣のビルを捜索。私は窓の下辺りを重点的に捜索しました。

里親宅周辺の商店街は昔からの小さな店が多く奥に細長い作りで、店の一番奥が里親宅のマンションと隣接してました。店と店の間は狭く人は入って行けないが、猫なら十分入って行け、そして窓の近くにあるこの隙間は中の方で迷路とまではいかなくても路地のようになっていました。

この路地付近をテリトリーにしている野良さんあり。マンションの向かいには公園と神社ここにも野良さんがいらっしゃいます。マンションの周りは単身向けマンションと飲食店のビルそして古い長屋や廃屋などがあり猫たちの隠れ場所は本当に沢山ありました。上に居るのか下に居るのかさえもわからないのですから 捜索の範囲を絞りきることは出来ませんでした。

麗はおっとりしているというか、物怖じせず大胆な割りにビビリな部分もありパニックになると固まるタイプの子です。そして他の猫に比べちょっと運動能力が劣っており、登ったり降りたり飛んだりと活発にする子ではないのです。そんな麗が 脱走?

この思いは麗の無事を確認するまでずっとありました。脱走当日は“不安とパニックで固まってるだろう”と思い一時帰宅。チラシの作成と迷子猫の探し方のコツなどを調べ捜索の参考にしました。

2日目
明るい時間にビルの上を捜索。今度はきちんと了解を得て・・・商店街のお店で何軒かポスターを貼って頂きポスティングとチラシ配り。里親にも近隣にポスターを貼る様指示。近隣の捜索を続ける。

3日目
捜索させて頂いたビルの方にお礼と今後もご協力頂きたい旨伝えに行く。ポスティングとチラシ配り。チラシ配りは夕方の人通りの比較的多い時間に行う。露骨に嫌な顔をされたりダッシュで逃げられたり・・・結構凹みます。近隣の捜索。

翌日は天気が良くなるとの事なので“明日再度屋上を見せて頂き 上を探すのか下を探すのか決めよう”と捜索方法を相談する。近隣の捜索。里親には早朝にも捜索する様指示。明日どうゆう結果になっても捕獲機が必要となるので、お借りする手配をする。

動物管理センターに迷子猫の登録と保健所への連絡(保健所は犬の連絡はあるけど猫は殆ど無いらしい)、環境事業センター(交通事故に合った子達の引き取りをしている)に該当が無いか問い合わせすると登録もしてくださった。環境事業局(有料の為殆ど飼い猫さんの引き取り)にも連絡 親切な方が連絡してくださってたかもしれないので・・・里親には警察への届けをしてもらう。

4日目
夕方3人で屋上を捜索させて頂く。気になっていた屋上の納戸や下に下りる階段(建物の中に有ります)までも捜索。“上で唯一隠れられそうな場所に居ないとすれば下だろう”と言うことで、早速手配いただいた捕獲機が 翌日到着予定だったので設置場所を相談。 

脱走した窓の下から3mくらいの所にある里親の駐車場に決める。近隣の捜索。

5日目
私の帰りが遅くなるので、捕獲機の到着を遅い時間にして頂き、到着後川口さまに取り扱い方法をお聞きし、設置に向かう。設置後20分足らずでテリトリーのサビ猫さんGET。捕獲機の有能さに驚く。

捜索範囲を広げる。目撃情報も無く 長くなることを考えて私たちは夜の捜索、里親は早朝捜索と時間帯を分ける提案をする。

6日目
捜索開始が遅かった為 チラシ配りは止めて(酔っ払いとホームレスばかりだし・・・)ポスティングと近隣捜索。ご親切に“絶対に近くに居る”というメールを頂き、明日からの捜索の参考にさせて頂く。

あの麗だから 遠くには行かない気がしてきた。

7日目
昨日のアドバイスに従って近くの捜索を中心にする。無いとは思うけど 里親宅の中とベランダ・マンションの階段など兎に角近くを探す。勿論ポスティングを続けながらいつもの近隣捜索も続ける。

8日目
マンション前の神社がお祭りの為 人通りも多いだろうと言うことで、いつもより捜索開始時間を遅くする。夜中と言うか明け方に行く予定にして仮眠を取るが寝過ごす。

9日目
予定より2時間ばかり遅れて捜索開始。いつも絶対に捜索する場所が5箇所ほどある。とりあえずその場所を一通り捜索して、マンションに戻りながら隣のビルと屋上捜索のビルの間の隙間をもう一度見る。20pくらいの隙間には地面ギリギリから背伸びしても見えないくらいまでの扉があり、近くの大きな鉢植えを足場に中を見なくては行けない。

そしてこのときも見た。麗が座ってた。3mくらいは離れてたし、胸の白い毛はグレーになってたし、首輪も見えなかったけど 、絶対に麗に間違いないと思った。主人も確認した。私たちの存在を確認した麗は、またダッシュで路地の奥に入って行った。でも無事を確認したので俄然やる気も沸いてきた。居るか居ないか分からない間は不安だけど、居ることが分かったのだから 絶対に保護できる自信が出てきた。

とりあえずこの路地の中がどのようになっているのか近くの交番で住宅地図をみせてもらって確認。隣のビルの1階の居酒屋さんの裏窓・屋上捜索のビルの裏窓などから確認して想像して、出口が脱走した窓の下の路地しかないことを確信した。

まずは捕獲機を駐車場から的確な位置に移動させ 麗を待つことに。麗は居酒屋さんの良い匂いのする換気扇の下に座ってた。お腹が空いてるはず。ずっと雨が降り続き日中は結構強く降った。昼間の監視は里親に任せて私たちは一時帰宅。

夕方再度行くがまだ。えさを新しいのに替えて帰宅。人通りの少なくなる夜中に望みをかけてもう一度行く。車を止めて捕獲機を見た主人の「麗だよ!!」の声が聞こえた。

日付は替わり脱走から10日目になっていたが 麗を無事保護することができた。結局麗は部屋から出た時か部屋に帰ろうとして(私的にはこちらの説が有力だと!!)下に落ちたんだと思います。

「脱走しても諦めずに探し続ければ絶対に見つかる。」皆さんそう言って下さいました。その通りです。麗の脱走で身を持って体験しました。

もしも猫に脱走されても悲観せず諦めず探せば絶対に見つかります。今回体験して感じた捜索のポイントは、完全室内飼いで避妊済みなら絶対に近くにいる、驚く程近くにいる。脱走から暫くはじっとしているからその間にチラシを沢山配り行動を開始したら目撃情報が入る様にする。

目撃情報が無いのは まだ行動を開始していないのではないか? 兎に角毎日探す。探していることをアピールしていれば協力して下さる方も現れる。現に最初は「ここら辺の人関西人のわりにえらい冷たいなぁ」と思って居たけど、4・5日もすれば声をかけてくださる人だって現れました。

商店街の方は麗無事保護を本当に喜んでくださいましたから・・・ 同じとこを何度も何度も探す。無駄と思うこともあるかも知れないけど、捜索中に無駄なことなんか何にもない。絶対に捕獲機を使った方が良い。

そして何より諦めないということです。

私が皆さんから頂いたアドバイスと同じです。多分脱走猫の捜索をされた方ならみんな同じ思いに到達するのでしょう。

麗捜索の9日間 昼は仕事夜は捜索 そして目撃情報も無く、なかなか思うように捜索出来ないでいるストレス・・・私たちの疲労と心労は相当なものでした。夕食を作ったのは2回だけです。少しの在宅時間で我が家の猫たちの世話もしなければいけないので、家事は殆どできませんでした。

私たちは捜索の間何日か夕食抜きの日もあったくらいです。

そして脱走した本猫「麗」も 痩せ目つきも鋭くなり雨にぬれ毛はパサパサ自慢の白エプロンも白靴下も白手袋も灰色に汚れていました。(写真右参照、クリックして大きな画像でご覧下さい)

一緒に里子に行ったリックは麗脱走の日から毎日麗を探して泣き、見てられないと里親は言ってました。

本当に辛く大変はな9日間だったのです。経験をされた方じゃないと分からないかも知れません。でもこんな経験猫も人も絶対にしてはだめです。

我が家も里親宅もこれから脱走防止対策を徹底的にします。こんな思いもう2度としたくありません。本当は1回だって嫌だったのです。脱走防止対策は本当は人の為にするんです。こんな辛い日々を過ごさなくても良い為に。

猫たちは本当に私たちが思うよりずと賢く器用で思いも余らぬ事をするんだと肝に銘じたいと思います。


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