《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》 猫の為の情報

FIPのネコを飼っている人達の体験とメッセージ

case 1 さくらちゃんの飼い主・邦子さんより

さくらの発症と経過
さくらは日吉のお山にいた頃は「相撲取り」と呼んでいたくらい、ある4兄弟でも一番貫禄のある強い猫でしたが、我が家に来てからは、すっかり内弁慶になってしまいました。

さくらがかかったFIP(猫伝染性腹膜炎)ですが、この病気にかかって発病するとほとんどの猫は死に至るという恐ろしい病気ですね。さくらは1昨年の1月に発病しました。発病する1週間前くらいから食欲が落ちていたものの、少しは食べていたし熱もないようだったので風邪をひいたのかと思って様子を見ていたところ、ある朝、寝床のダンボールの中で、よだれを出して動けなくなっているのを見つけました。

鼻と口の中が真っ白で人間で言えば顔面蒼白という感じで、耳や手足の先も冷たくなって黄疸も出ていました。大急ぎでタクシーに乗せて大倉山の動物病院に連れて行き、おそらくFIPだろうということで、先生はすぐに抗生剤の点滴を始めました。

血圧が低下しており、貧血もひどく手足の先に血液が回らなくなってしまっていて、明日の朝までまずもたないでしょう、と言われました。家に戻ってから濱さんとどこに埋めてあげようか、と相談したり、主人と遺体を引き取る用意をしたりして不安な一夜をすごしました。翌朝連絡をとってみると、抗生剤が効いて頭を上げられるくらいになったけれどまだ油断はできませんということでした。夕方にお見舞いに行った時には、私の顔も認識できるようになっていて、えさも少し食べられるようになっていました。

検査の結果が出ており、FIPの数値は6400倍、肝臓、腎臓の機能はひどく悪く、白血球の数も増加しており、やはりFIPと診断されました。それから10日間抗生剤、肝臓強化剤の点滴を受けて、足も立てるくらいになってから自宅に連れて帰りました。

FIPの後遺症で、毛がばさばさと抜けたり、歯茎が炎症をおこして歯を2,3本を残して全部抜いたり、ちょっと食べ過ぎると下痢をしたりして、2,3日に1ぺんは病院通いの日々でした。4月に再検査を受けた時には、肝臓、腎臓の数値はかなりよくなっており、白血球の数値も正常になっていました。

発病してから1年半近くたった現在、当時は3.2キロだった体重は4.5キロになりました。食欲旺盛、毛つやよくなり、健康な猫とまったく変わりありません。だた、えさは市販のものだと下痢をしてしまうので、消化器疾患の猫用のえさに鰹節を混ぜて食べさせています。

検査は今のところ特に症状が出ていないので必要ないということで、昨年4月以来受けていません。さくらが発病して死に至らなかったのは奇跡的だと先生がおっしゃっていました。診断と処置が早かったので助かったのでしょうね。

☆ FIPという病気
コロナウイルスが起こす病気で、コロナウイルスの中でも猫伝染性腹膜炎ウイルス(FIP)は猫の体内にひどく害をおよぼし、発病したらまず助からないといわれている恐ろしい伝染病である。コロナウイルスは口や鼻から侵入し、腸や気管で繁殖する。

アルコールや石鹸で死んでしまう弱いウイルスで、健康な猫であればウイルスが口から体内に入っても便に出て軽い症状しか起こさない。やがて免疫ができ最終的にはウイルスは体内からいなくなる。しかし、感染した後に体調が悪く免疫力が落ちている場合は激しいアレルギー反応が起き、FIPを発病し、死に至ることもある。

☆ 症状
元気と食欲がなくなり、急激にやせる。肝臓、腎臓などの臓器の機能が低下し、さらに進行すると貧血を起こし、衰弱が激しくなる。(さくらもほんの2,3日の間に急激に食欲がなくなり、衰弱しました。)又、お腹や胸に水がたまり、胸に水がたまると肺が圧迫されて呼吸が苦しくなる。脳に感染した場合は、痙攣や麻痺症状などの神経症状も現れ、このようになったら手のほどこしようがない。

☆ 診断と治療
血液検査で、貧血やたんぱく、血液化学検査や尿検査で肝臓、腎臓の状態を調べ、FIPであるかどうかは症状や血液検査と合わせて、血清の抗体検査の結果で判断される。FIPにかかった猫はだいたいは治らないと考えられており、治療としては、免疫
抑制剤などの薬物を使った治療が行われ、お腹や胸に水がたまった時は水を抜いたりして不快な症状を和らげてあげる。

(参考)さくらの検査の結果

*入院して治療を受けてから1週間後(2月1日)の結果
TP(感染症)8.5(正常値5.4−7.8)
GOT(肝障害)92(正常値8−33)
GTP(肝障害)176(正常値11−50)
LDH(肝障害)654(正常値−234)
WBC(炎症性疾患)22.5(正常値5.5−19.5)
FIP抗体6400倍

*4月7日の結果
TP 8.9
GOT 62
GPT 94
LDH 201
CPK(中枢神経の損傷)454(正常値18−295) *前回は数値が出ていない
WBC 12.3

☆ 日常気をつけること
・よい環境を作ってあげてストレスを与えないようにする。
・他の感染症にかからないように室内飼いをする。
・多頭飼いの場合、他の猫に感染させないために接触しないようにする。特に、老猫や病気の猫は免疫力が弱っているので接触させないほうがよい。(大倉山動物病院の先生は健康な猫であればあまり神経質になる必要はなく、トイレと食器を別にすればまず感染することはないとおっしゃっていました。我が家では先住猫が10歳と高齢であることと、膀胱炎と肝炎の持病を持っているので部屋を分けています。)
・私として日常気をつけていることは、新しい症状が出たら自己判断しないですぐに動物病院に問い合わせる、他の猫に感染
しないようにさくらを触った後は必ず石鹸で手を洗う、等気をつけています。

以上、ご参考になさって下さい。

*さくらちゃんは『ペット自慢』にも登場の予定です。乞うご期待!(更新ガイドをチェックしていてね!)

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