ジーコ
明るい表情
Mar. 19, 2004 |
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2004年3月19日 金曜日
やっとお天気が回復した。そしてもうお彼岸は目の前だ。これですっかり暖かくなるだろう。桜も咲き始めたし、野鳥好きのオグラさんは、ラボの庭で鳴き方がまだ下手な若いウグイスを目撃したと言う。待ちに待った春が来た。
おニャアニャンのところの保護猫「リキ」の、再募集を始めた。リキが折角決まった里親さんからお戻しになった経緯には、私にも責任がある。
先日おニャアニャンの掲示板で、里親さんが自宅マンションの11階のベランダの手摺りに乗っているリキの写真を貼り付けてくれていた。それを見ておニャアニャンは、リキに対して危ないからやめるようにやんわりと発言していたのだが、危険を回避してやって欲しいという真意は充分汲み取れた。
マンションのベランダからは、随分とあちこちの飼い猫が転落している。それで死んでしまった子もいるし、そのまま行方不明になった子もいる。うちの子に限って・・・と飼い主は思う。しかし事故が起きてから、ようやく気づくのだ。ベランダに出すべきではなかったと。私に対して寄せられる報告だけでも、どれだけの後悔と悲しみに満ちている事か。
落ちても無傷でいられるのは、実験した事はないから論拠を示し難いのだが、せいぜい2階のベランダ程度だろう。それでも落ちる時に慌てて足場にしがみ付き、爪が抜けてしまう程度の怪我はしているのだ。
しかしおニャアニャンは元の保護主として、年長者で猫を飼ってきた経験の長い里親さんに対し、あまり強く言えずにいるようでもあった。それでつい、横からお節介を焼いてしまった。
つまり、ベランダに金属の防護ネットでも張り巡らせない限りは、転落を防ぐのは不可能である。しかし集合住宅のベランダでは勝手な工事や改修は難しいはずだし、よほどきっちり防護しない限りは、ほんの少しの隙間からでも好奇心旺盛な猫は出ようとする。
一戸建ての我が家では、かつては2階のベランダに猫たちを出していた。手摺りには二重にネットを張り、隙間からは出られないようにした。しかしジーコはジャンプして手摺りを軽々と越えた。1階の大屋根に着地するだけなのだが、今度屋根からどこかへジャンプされては堪らない。落ちると大抵の猫はパニックを起こし、それが迷子になる原因でもあるのだ。以来、我が家では他の要因(過去の日記を全て読んで下さった方にはお解かりだろうが、ベランダのプランターの草を食べてしまうと、吐いて猫の身体に悪影響がある事が判明)も重なり、ベランダには出さないようにした。
2階では通年でエアコンと空気清浄機、換気扇、オイルヒーター、除湿器、加湿器などをその時々に合わせて組み合わせして部屋の温度と空調管理をしている。夏場には灼熱地獄となる2階では、たとえ窓を開け放っても自然のままに過ごすなどという事は不可能なのだと、ここに越して来て直ぐに身に染みた。
夏でも比較的涼しい1階でも、兎に角猫を外に出てしまったら大変だから、昨年は窓に4センチピッチで面格子を付けた。猫の脱走防止と温度・湿度管理の為に、どれだけ労力と費用(初期投資とランニングコスト)をかけている事だろう。しかし、それが試行錯誤の末に辿り付いたやり方なのだ。ここに至るまでには、私とて色々と猫の為を考えてあらゆるやり方を実践して来た。誰に相談するでもなく、自分たちで考えて・・・。
マンションでの飼育も、3箇所を経験している。マンションでは、いずれも猫はベランダに出さなかった。都心の幹線道路沿いだったので危険過ぎた。大宮の田舎のマンションは2階ではあったが、一度落ちたら保護出来る自信がなかった。まだミュウを飼い始めた年で、捕獲器すら知らなかった頃だ。
そういった経験値から、ベランダに出さない工夫をして欲しいとお願いしたのだ。ベランダに面する窓の内側に、レールを増設してまで木の格子戸を特注したミヨコの例もある。見た目も美しい、立派なプロの建具屋の作品である。
しかし里親さんには通じなかった。猫を閉じ込めて飼うのは人間のエゴであるという事、座敷牢のような生活はするつもりがないという事を主張していた。ご老人でもあるようだし、多分、若造(少しも若くなんかないのだが、老人から見れば若造だろう)から自分の考え方を否定されたように感じて面白くなかったのかも知れないし、一度言い出した事は後に退けない性質なのかも知れないが、おニャアニャンの誠意と勇気ある説得と妥協案の提案にも拘わらず、交渉は決裂した。
ベランダに出すのをやめないというのも、これも一つの自己主張を貫いている証しなのだろうが、人間が努力と工夫で危険回避出来るところを、それをせずに万が一にでも守ってやれない事故が起きた場合は、これは「事故」などではない。飼い主の責任であり人災である。
元々かなり頑迷なお方ではあったようだが、可愛い猫が絡んでいるのに、そこまで老人の心を頑なに、しかも激しい怒りで後に退けなくさせたのは、私のキャラクターに反感を持っての事だろうと推察する。何も相手の考え方を否定なんかしていないし失礼な物言いもしていないのに、過剰反応させたようだ。しかし老人だろうが、間違いは正すべきだし、失礼な事を言えば詫びるべきだ。それが出来ない老人にはなるまいと思う。
しかしおニャアニャンは、最後には立派に主張し抜いた。そして自分が守らないと後悔するだろう事をきちんと弁(わきま)えていた。守るべきは猫の「リキ」であり、自分の培ってきた信念である。彼女の心の成長は、遠く離れているものの、私が解かっている。
という事で、
リキの里親募集は、私の肝煎で再スタートです。とても優しいキャラクターのシャムミックスです。生後11ヶ月と言えば、もはや体調不安定な事も少なく飼い易い月齢ですので、どうか家族に迎えては戴けませんか?
年間を通じて今が一番仕事が集中する時期で、連日帰りも遅くなり、目はかなり疲れている。吐き気がするような眼精疲労。アインとジーコの2時間おきの強制給餌も、こうちゃんと二人でなければとても続かないだろう。
しかしお陰で、持ち直していると言って差し支えないと思う。ジーコはアインよりも先に、自発的に食べられるようになりつつある。良かった。時間稼ぎでしかないかも知れないけれど、一緒に過ごせる「時間」がまた与えられたのだ。アインも、自分の足で動けるようになっている。
明日はサクらちゃんの退院だから、また1匹増える。里親募集はしようと思うけれど、一時的には16匹。もっと何かを削らないと、時間が足りない。それは何か・・・解かってはいるのだ。