CAT'S EYES & CAT'S HANDS 緊急時のノウハウ

1.赤ちゃん猫・仔猫を保護しちゃったけれど、
何をどうすれば良いの?


棄てられたのか、あるいは母猫とはぐれたのか・・・兎に角小さな仔猫を保護してしまった時・・・

キイワード
>>体重と月齢 >>ミルク or 仔猫フード? >>オシッコとウンチ
>>保温と乾燥防止 >>授乳方法 >>授乳の頻度と量
>>低血糖と低体温 >>脱水させない事 >>離乳のタイミング

1.可能な限り、先ずはそのまま動物病院へ連れて行く
乳飲み子の場合、そして目やにや鼻水が出ているような場合、ぐったりしていたり、ミルクを飲んでくれない場合は、グズグズしていないで病院に行く事をお勧めします。

たいした金額はかかりませんのでご安心下さい。

但し、あなたが腰が引けている印象を与えてしまうような態度を見せ、そのまま病院に保護責任を押し付けると危惧させてしまったら、獣医さんも親身になって様々なアドバイスをしてはくれません。

自分で責任をもって保護し、飼うなり里親探しをするつもりである事をハッキリと告げて、その仔猫の大きさや状態に合わせたケアの方法を指導して貰うのが最良です。

最初にその事をお断りしておきます。

誰だってそんな仔猫を保護したくなどありません。しかし、見てしまって気になってしまったのであれば、あなたが保護して頑張るしかないのです。

誰かに知らせてその保護を押し付けて安心してしまうようであれば、以下は読んで戴く必要ありません。
2.乳飲み子の具体的なケアと注意点
近くに直ぐに診て貰える動物病院がない場合には一晩は家で様子を見る事になりますが、既に離乳していて自力で元気に缶詰のフードやドライフード食べられるようであれば、あまり心配は要りません。

●ミルク OR 仔猫フード?(人工授乳が必要なケースの見極め)
へその緒の付いた赤ちゃん猫や、目の開いていない程小さな仔猫、または体の大きさにして片方の掌に乗ってしまえる程の場合は、これは人工授乳が必要です。



離乳の目安は、生後1ヵ月半位でしょうか。乳歯が生えて、自力排泄が出来るようになる頃には、離乳食や缶詰フードが自力で食べられるようになります。

それを見極めてから授乳を止めても遅くありません。

それまでは仔猫の身体が消化・吸収し易い猫用のミルクを与えて下さい。牛乳ではいけません。


人肌に冷ましたミルクを、飲むだけ・欲しがるだけ与えて大丈夫です。


一度に飲んでくれる量と成長の度合いにもよりますが、2〜4時間おきに与えるものだと思って下さい。おなかが空いてくると目を覚まして泣き出すのが健康な赤ちゃんです。

授乳の間隔が空き過ぎるのは、とても危険な事です。脱水や低血糖を起こし、あっと言う間に死んでしまう事が多いですし、運良く生き延びたとしても、大層虚弱な猫に育ってしまったり、骨の発育に重大な影響を及ぼす事もあります。


あなたが頑張らなければ、仔猫は数時間でひからびて死んでしまいますから、どうか覚悟を決めて頑張って下さい。




もちろん、どこの家にも猫用の哺乳瓶やミルクが常備されている訳ではありません。直ちに買える場合は、買って来て下さい。

但しそれまでの間にも、どんどんと脱水症状が進む場合もあります。それまでのつなぎとして牛乳でも仕方ありませんので、牛乳250ccに、卵黄1個とティースプーン4杯の砂糖を加えたもの、あるいは人間用の赤ちゃん用のミルクを2倍に薄めたものを少し温めてスポイトやシリンジ、最悪の場合にはストローなどで工夫して口に入れてやって下さい。

猫用のミルクでないと下痢をしてしまいますので、いつまでもこれで良いとは思わないで下さい。脱水させない為、そして低血糖に陥らせない為の、あくまでも「一時凌ぎ」です。



「脱水」は、あらゆる猫の場合にとても危険な状態です。仔猫の場合、ミルクさえ順調に飲めていれば脱水を起こす事は希ですが、異常な下痢を続けていると脱水してしまう事もあります。

脱水していると、食べられなくなる事もありますので、背中の皮を引っ張って直ぐに元に戻らないようであれば、脱水を疑って直ぐに獣医師に相談して下さい。

栄養と水分を摂る事、きちんと排泄する事・・・これは赤ちゃん猫に限らず、どんな生き物にもとても大事な事なのです。


●オシッコとウンチ・・・先ずお尻の世話から始めよ
晴れて哺乳瓶とミルクが揃って、与え方がミルクの缶に説明されていても、実際に飲ませる段になると意外に仔猫がなかなか飲んでくれない場合が多いのです。

先ずはオシッコをさせる事から始めて下さい。今後も授乳の前と後に、必ずこれは必要となります。オシッコやウンチが溜まっていては、ミルクが飲めないのです。

本来は母猫がザラザラした舌でお尻を舐めて刺激してやらないとオシッコ・ウンチが出ないものですから、あなたがその代わりをしてやる訳です。

もちろん舐める必要はありません。脱脂綿でお尻の排泄場所をポンポンと軽く叩いていると、やがてビショビショとオシッコが出てきます。ウンチが溜まっていれば、肛門からもそれがグチャグチャと出てきます。

この場合、繊維が粗いティッシュペーパーよりは脱脂綿が適していますが、無ければ一時的にティッシュで代用して、後日薬局で脱脂綿を求めておいて下さい。毎日大量に必要となりますから。

ティッシュは繊維の切り口が鋭く、赤ちゃんのお尻の皮膚を傷つけ易いので、脱脂綿を用意するまでの間の「一時凌ぎ」にして下さいね。

ちなみに、ミルクを飲んでいるうちはウンチは毎日出る訳ではありません

極く小さい頃であれば3日に一度という場合もあれば、やがて大きくなると日に2度は出るという事もあります。

しかしおなかが空いているはずなのに、おなかがパンパンに張っていて、しかもウンチが出ないという場合には、洗面器にお湯を張り、その中にお尻を浸けて、肛門のあたりを指の腹で叩いてみて下さい。

これで出易くなるはずです。

それでも出なくて、どうしても心配な状態であれば、迷わず病院にGO!


外部リンク参照:
生まれたばかりの赤ちゃん猫を毎年何度か育てた経験から、参考になるポイントを>>【Casper】>>「Baby's」コーナーで解かり易く解説してくれています。

排泄がどれだけ大切なのかも、ここを読んでいただけるとご理解戴けると思います。排泄が上手く出来ていないと、ミルクも飲めなくなり、それは「死」を意味します。

是非、ご参照下さい。





●体重と月齢の関係
通常、体重や乳歯の生え具合で、獣医師は月齢を推定します。

生まれたての正常な赤ちゃん猫の場合、大体80〜100グラム程の体重ですが、早産の場合などはもっと少ない事もあります(早産による未熟児の場合は、なかなか助けられない事が多いのですが)。

無事に授乳出来れば、日に10グラム位ずつ体重が増えて行きます。



保護した時に、乳歯が生えているのに体重が200グラム位しかない・・・などという場合には、それまでの期間に母猫から授乳されていなかったり、飢餓状態が長く続いてい可能性があります。

そういう飢餓状態が続いていた猫に急激に栄養を入れる事で、却って具合が悪くなる事もあると覚えておいて下さい。アンモニア値が高くなる事で、昏睡状態に陥ったりします。

それを防ぐ為には、少量ずつ回数を多く与えるしかありません。

と同時に、一度そういう危険な状態になってしまったら、補液や下剤などでオシッコやウンチを強制的にでも出して毒素を排出させないといけませんが、これは素人がしてはいけません。必ず獣医師に任せて下さい。



●授乳の方法・・・大変だけど成長に手を貸すのは快感です
人工の乳首をくわえさせてもなかなか吸えない仔猫が多いので、搾り出すようにして「ここからミルクが出るんだ」という事を、先ず身体で解らせてあげて下さい。慣れれば、どんどん飲んでくれます。

無理やりスポイトなどで注ぎ込んで、鼻から出てくるようであればやり過ぎです。無理なく飲み込んでいることを確認しつつ、与えて下さい。

とりあえずはシリンジ(針の無い注射器)があれば、それで授乳出来ます。>>こちらにシリンジでの飲ませ方の参考例があります。

一旦、哺乳瓶から飲んでくれたら、後は順調に大きくなってくれるはずです。

本来は目の前に母猫のおっぱいがあるので、仔猫は本能的に両の前脚でそれを揉み揉みしながら飲むのですが、哺乳瓶が相手だと、その手が空振りになり、仔猫の細くて鋭い針のような引っ込まない爪が、自分の目を傷つける事がありますので注意して下さい。

哺乳瓶を2本の指で支え、残りの指を伸ばすようにして広げ、仔猫がおっぱい(のつもり)を揉み揉みしているのを受け止めてあげると良いでしょう。

授乳後は、またお尻ポンポンでオシッコさせておいて下さい。しばらくはぐっすり眠ってくれます。

おなかが空けば、またミーミーと騒ぎ出します。


そして歯が生え揃い、哺乳瓶の乳首を噛み切ってしまうようになったら離乳のタイミングです。

離乳食か仔猫フードを自力で食べられる時期ですので、トライして下さい。



●仔猫には保温も大切
仔猫の体温が失われないよう、寝る場所には保温の工夫が必要な場合があります。

電気のアンカやホカロンなどでは仔猫が乾燥してしまいますので、湯タンポをお勧めします。

ペットボトルに熱いお湯を入れたもので周りを囲う、あるいは丈夫なファスナー付ポリ袋(ジップロック等)にお湯を入れて、その上にタオルを敷くなどの工夫をする(まるで小さなウォーターベッドですね)、蓋付プラスチック容器にお湯を入れて、その上にタオルを敷いて温度調整する・・・等の方法が簡単です。

もちろん夏場には不要ですが、エアコンの効いた部屋では、風が直接あたらないようにする工夫と保温が必要です。
3.具合が悪い場合の注意点
●「脱水」と「低血糖」「低体温」の危険・・・ぐったりしている
健康な仔猫ならば授乳とお尻の世話で何とか育ちますが、様々な原因で具合が悪い場合、そのときはためらわずに動物病院に連れて行って下さい。

仔猫の場合、風邪をひいていて熱が高いとミルクも飲まないことがあります。あるいは既に離乳している場合でも、1回食べられないと直ぐに脱水症状が始まります。脱水は、即、「死」に繋がります。

食欲は健康のバロメータです。仔猫の場合、特にミルクが充分に飲めていない事による「低血糖」と「低体温」そして「脱水」に注意が必要です。


●目の異常
目やにが出ている場合、それがあまり酷くなければ、生理食塩水を含ませた脱脂綿でそっと押さえるようにしてふやかして取ってやります。

この生理食塩水は、そのまま目を洗ってあげる事も出来ます。

もっと悪化しているようであれば(瞼が赤く腫れている等)、ウィルス性の結膜炎を起こしている場合が多いので、早目に獣医さんに診て貰いましょう。


●耳の異常
耳の中が黒くなり、痒がって頭部や耳を酷く掻く時には、耳ダニ(耳疥癬)が疑われます。これも素人には治療が出来ませんので、迷わず獣医に。


●皮膚の異常
皮膚を痒がり、脱毛したりカサブタが出来ているようであれば、皮膚疥癬の疑いあり。人にも移りますから、治療と周囲の掃除をこまめにしましょう。

疥癬治療薬は、注射・経口投与とありますが、あまり小さな仔猫には使えません。その場合には薬浴を勧められると思いますが、いずれにしても病院での治療が必要です。


●下痢が続く
離乳してフードを食べ始めると、下痢することがあります。下痢が続くのは異常の印です。恐い病気の場合も、寄生虫や原虫が原因の場合も、そして細菌が腸の中に繁殖して起こる場合も、タンパク質へのアレルギーで起こる下痢もあります。

どういう便が正常なのか、そしてどの程度成長しているか、おなかに寄生虫はいないか・・・仔猫の時期には色々と心配事が多いので、決して素人判断をせず、獣医さんと親しく付き合って教わって下さい。

発見が遅いと手遅れの病気も多いですし、病気でなくとも仔猫はいつ突然死んでもおかしくないものです。ミルクが飲めないままグズグズしていたら、あっと言う間に脱水して死んでしまうのです。


人間の赤ちゃんを育てるのと同じに、初めての経験の場合には医者にアドバイスを貰うのが一番です。しかし人間の赤ちゃんよりも、ずっと成長が早くて手間が掛からないはずです。ほんのひと時の手間ですので、楽しく頑張れると思います。

4.離乳後、どうするのか?・・・自分で飼えなければ里親募集という方法もあります
●離乳するまでは、絶対あなたがお母さん
もしも里子に出すとしても、最低でもドライフードを自力で食べ、トイレで排泄出切るようになってからでないと、あまりにも不安定で心配です。

トイレのしつけは、自力でおもらしするようになったら、それを拭いたティッシュなどをトイレに入れておいてやると次にはトイレに入れておくだけで、教えなくても砂を掻いてオシッコしたりしています。排泄物の臭いで、そこがトイレだと判断しているのだと思います。

トイレの砂は色んなものが出ていますので、最初は手の小さな仔猫に合わせて、あまり粒の大きくて粗いものは避けた方が良いかも知れません。

うちの場合は、最初からオカラの砂でOKでした。粗相しても、決して叱らないで下さい。尤も、人工授乳で育てた仔猫がどこで粗相しようと、もはやあなたは仔猫の可愛さにメロメロのはずですが・・・。

そして、どうしても自分では飼えないと判断した場合には、里親さんを探す事になりますが、その場合のノウハウは当サイトの>>里親募集コーナーにて、「里子に出す前に」「里親募集の要項」などをしっかり読んで戴きたいと願います。

手をかけて大切に育てた仔猫が間違っても不幸せにならないよう、良い里親さんを見つけてあげる事も、あなたの責任です。

仔猫は貰い手がつき易いものですが、気合の入っていない里親探しはしないで下さい。あっという間に仔猫は仔猫でなくなり、里親さんを探すのが困難になってきます。

そして、保護したあなた以上にその仔猫を愛している人は世の中にはいません。その事も充分に理解した上で、本当にどうしても飼えないのか?と、もう一度自分に訊いてみて下さい。

あなたが手放さなくてはいけませんか?

5.大人猫を保護した場合と、その後の猫との生活の心得は>>こちらで・・・


キイワード
>>体重と月齢 >>ミルク or 仔猫フード? >>オシッコとウンチ
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