ジャム

氷大好き

Jun. 28, 2001

明美さんが冷蔵庫を買い換えた話を日記で読んでいたら、ますます新しい冷蔵庫が欲しい。

今はさほど珍しくもない自動製氷機能だが、私の冷蔵庫には付いていない。しかしアイスクリーマーをセットしたらアイスクリームが作れる機能がある変な冷凍庫になっている。

物珍しくて1〜2度作ってみただけで、あとは場所が勿体ないからはずしてしまった。では何故これにしたかと言えば、当時で一番冷凍庫の容量が大きかったのがこの冷蔵庫だったのだ。


自家製のアイスクリームは確かに美味しかった。

しかし作りたてでないと固くなってしまうし、そうそうアイスクリームばかり食べられない。子供のいない家は不便だと思った。いや、子供でなくてもアイスクリームが好きな女性は多いが、私はアイスクリームよりはご飯の方が良い。



脱線したが、自動製氷機能というものが意外と便利らしいと感じたのだ。

ウチでは氷なんかそんなに要らない・・・と殆どの季節には思っているのだが、こう暑い日が続くと氷がいっぱい出来ているのは贅沢だなあ・・・と思う。

私の生まれた頃には、冷蔵庫すらあまり普及していなかった。

父親が家電メーカーに勤務していたから我が家には早くから冷蔵庫があったのだが、製氷器の周りには霜がたくさん付いてしまう不便な昔の冷蔵庫だった。

氷をリヤカーで売りに来るおじさんがいた事も覚えている。大きなノコギリで氷を切り出して各家庭に売るのだ。

氷をノコギリで挽くと、細かい氷のクズがいっぱい出る。それを私達子供が貰うのだ。「雪だ!」と遠目では思うのだが、いざ手に取るとやはり粒が粗い。使い道のないまま、何となく路上で溶かしてしまうだけのおこぼれだった。


しかし、その氷の塊を上部に入れておく木製の冷蔵庫も見た覚えがある。冷気は下に降りるから、下部に魚などを置いて少しでも痛みを防ぐ程度のものだったのだろうと想像する。

その木製の冷蔵庫を見たのは、近所のお婆さんの家だった。「猫んちの婆(ばあ)」と呼んでいたので、多分猫を飼っていたのだろうが猫の事は記憶にない。

猫んちのばあの家には、フラフープもあった。私はまだ小さかったのでフラフープで遊んだ記憶はないのだが、そういう時代の話である。


それは粉末の袋入りで「ジュースの素」などが売られていた時代で、カルピスなんてお中元で戴かない限りは飲んだ記憶がない。

町のあちこちに、まだ井戸も残っていた。とは言え、井戸に水を汲みに行く訳ではなかった。家庭には水道が引かれ、同時に井戸水が出る蛇口もあった。

井戸水は冷たくて美味しかった。水道の水は、その頃から臭くて不味かったのだ。

日本はまだ貧しい時代で、携帯電話もコンピュータも存在せず、商売をしている家でもなければ電話だってそう置いていなかったと思う。家々の灯りも、今よりずっと暗かったような気がする。


そういう時代を知っている世代には、氷がいつでもふんだんに使えるというのは、改めて考えるととても贅沢な事に思えるのかも知れない。

食べ物屋の厨房にあるような、本格的な製氷器に大量に氷が出来ているのを見た時も、野菜を氷水に漬けてパリッとさせたり、淹れたてのコーヒーやお茶を薄めずに大量の氷で周りから冷やしたりする事も出来ると思った。

口に入れる事なく解けていく氷・・・これは贅沢だ。

たとえ新しい冷蔵庫に買い換える事があって自動製氷機能があったとして、私にその贅沢が出来るだろうか?たまに冷しゃぶなんか作る時に、氷水を張ったボウルの中で肉を冷やしたりする訳だが、つい勿体ないと感じてしまうのは貧乏性なのかな?


食後に氷水を作って飲んだら、飲み終わって大半残っていた氷をガラガラッとこうちゃんが流しに捨てているのを見た時も、「勿体ないじゃん!」と怒ってしまった。

また飲みたくなるかも知れないからと、再び水を足して置いておく。そして忘れてHPの更新なんかしているのだが。


その氷が珍しいのか、近頃はジャムが熱心にグラスの周りをうろついている。

たまに前足を突っ込んでは、濡れてしまってプルプルッと振る。顔を突っ込んで舐めている時もある。あまりに冷たいものは苦手なはずなのだが、最近は氷の音がすると飛んで来る。何でも遊びにしてしまう年頃なのだろうか。


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