ジャム
ママったら、も〜
Mar. 24, 2008 |
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2008年3月24日 月曜日
折角桜が開花したのに、今日は早朝から雨で肌寒い。
カワムラさんの容態も悪く、昼には病院へ。
体重は3.4キロ。やっと増えたと思ったら、少し減った。但し、連れて行く前に大量にオシッコとウンコをしたせいもあるかな。
本人(猫です、スミマセン)は至って機嫌が良い。今日はなかなか復活出来ないでいたけれど、このお天気のせいだよね、カワムラさん。
明日は晴れて暖かくなるみたいだから、またしっかり食べて、何度でも私達を驚かせ喜ばせて欲しい。要求ばかりでゴメンネ。
最初に注文しておいた本が昨日の午後届いた。次に注文した2冊も、今日発送したというメールが入る。
今、私自身も体調が悪くて、出掛けると後が疲れて仕事に差し障る。いまどきはインターネットで本が買えるので、今の私にはとても便利だ。
勿論、本屋であれこれと探す楽しみもあるのだろうが、近場の書店では私が読みたい本がなかなか探し難くて、つい本屋では結構な時間と体力を消耗してしまう。
まだ仕事が片付いていないので、後でゆっくり読むつもりでいたのに、少しだけページをめくったら止まらなくなった。結局、一気に読み終えてしまう。
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【わたしを離さないで】 早川書房
カズオ・イシグロ著
土屋政雄訳 |
作者は5歳で日本人の両親と共に日本を離れ、その後ずっと英国で暮らし教育を受け英国籍をとった英国人であり、作品は全て英語で書かれている。
従って、これも翻訳物だ。
最初から最後まで一環して非常に抑制の効いた語り口であり、安手のドラマやマンガの登場人物が放つような、観る者・読む者の感受性をいつしか鈍らせてしまう安易で過激で品性の低い科白や描写はひとつも出て来ない。
そこにはイマジネーションと自制心を働かせて、自分と同じように友達の心を大切に考えている子供達や、デリカシーや豊かな感性を持つ少年・少女たちがおり、ある宿命の下でそれぞれの魂の機微を見せる。
物語のテーマは大変に重く、彼らの背負っている宿命は残酷だ。
最初、謎めいていたそのバック・グラウンドも、少しずつ薄紙を剥ぐように読者に知らされて行く。
以下、あらすじを知りたくない人もいるかと思うので、ご興味のある方だけお読み下さい。但し、結末やあらすじを知ったからと言って、内容が詰まらなくなる小説ではないと申し上げておきます。
物語の語り手は、優秀な介護人であるキャシー。彼女の淡々とした口調で、生まれ育った全寮制の施設「ヘールシャム」での過去が語られていく。
仲良しだった女友達のルースや男友達のトミーらと共に過ごした、へールシャムでの謎に満ちた美しい日々。
そこでは「保護官」と呼ばれる教師たちに手厚く守られ、創作を主とした情操教育を受けながら、彼らは外界と断絶したその場所で16歳までを過ごすのだ。
やがて訪れる「提供」の日に向け、心身の健康に細心の注意を払われて成長していく子どもたち。
子供たちは、自分たちが「提供者」たることを運命づけられている事を知っている。しかし作者は、その辺りをあまり明確にはしない。
そしてその謎めいた部分を残したまま、キャシーの回想は進んでいく。
しかし、その謎解きをする事がこの物語の主軸ではない。
いずれ「提供者」として使命を終える運命を変える事の出来ない「生まれ」の彼らが、普通の人間と何ら変わらない、いや、それどころか遥かに豊かな優しさと哀しみを知る存在であり、人間性や魂を持つ「尊厳」も「プライド」も「権利」も持つ生き物であるという事を、語られる過去のエピソードから、私達は嫌と言う程知るのだ。
その語り口は穏やかで結論を焦らず、淡々としたものであるが故に、より残酷で切ない。
ルースやトミーとの思い出に豊かに彩られたキャシーの回想は、私達に彼らの10数年間の「ヘールシャム」での時間をゆっくりとなぞらせ、共有させるのだ。
そのプロセスがあるからこそ、この衝撃的なテーマにまつわる怒りや哀しみを、私達はトミーやキャシーと同様に味わう事になる。
直接的な描写はないのに、一般の人間に臓器提供をする為に作られた「クローン」である彼らが、当然のようにその身体を喪失させられていく恐ろしさ、苦痛を、私達はいやが上にもイメージさせられる事になる。
勿論、この内容はフィクションであるのだが、クローン羊「ドリー」の誕生以来、世界中で様々な動物のクローンが作られている。
クローニングを人間に行う事に関しては、まだ世界中で反対の声が強いようだが、科学者たちは本当に自制心を持てるのだろうか?
知る事、発見する事、発明する事、開発する事へのあくなき欲求は、どこまで人間に許された領域であるかの判断を限りなく曖昧にさせてしまう事は周知の通りだ。
こんな事が許されるのか、人間は、そして科学はここまで思いあがって良いのか・・・命というものをどこまで人が左右して良いのか・・・
少し逆戻りして、人間は謙虚にならなくてはいけないのかも知れない。
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きわどい直接的な描写はなく、語り手も取り乱す事は無い。そこには静かな諦めと悲しみがあるだけだ。
しかし途中、トミーが見せた怒りの爆発をしっかりと覚えておきたい。
この作品を知るきっかけになったのは、私の尊敬するヤモリ飼いの女性のブログだった。
日頃から、この方の文章には信頼と敬意を抱いていた。余計な湿っぽい感情は書かず、事実のみ淡々と語っておられる。ヤモリの事だけでなく、料理や読書に関して書かれた文章も面白い。
【心臓を貫かれて】のような作品が好きな人でないとこの作品を読むのはちょっとつらいかも・・・という意味の言葉があり、【心臓を・・・】は大好きな作品なだけに、そのブログの帰り道に直ぐにAmazonで注文したのだ。
謎めいてはいても、これはミステリーではない。
彼らの秘密は文中何度となくさらっと明かされ、それは主人公である生徒たちも早い時期から知らされているのだ。
だけど本当には知らない、知らされていない・・・
それをどう現実のものとして知っていくのか、読者である私達も、語られる過去の中で彼らの体験を一つずつ丁寧に疑似体験しながら知って行く・・・そういう怖さ、悲しさ、残酷さと言えるかも知れない。
このようなテーマが裏に厳然とある訳ではないにしても、自分の子供の頃の精神状態を思い出し、あの頃、自分の世界がとても狭くて小さく、その未知の外界への恐れが今だに悪夢を見せている事なども考えた。
彼らのように「提供者」としての理不尽な宿命を与えられずとも、私達も少しずつしかし確実に死へと近づいているのだ。
私が集中して本を読んでいる間、ずっとジャムが傍に寄り添っていた。
左手でジャムを撫で、右手でページをめくる。時々ジャムが焦れたように鳴いては本に乗っかってしまったり、ページを噛む。
「紙食い」ジャム復活であった。
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ジャム
本ばっか読んで
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