ペロ
ボクも車に乗ったよ
Nov. 10, 2010 |
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2010年11月10日 水曜日
私のサイトを昔からご覧下さっている方はご存知かと思うが、私は車の運転も車も大好きだ。
車を買い替える機会にどれだけはしゃいで興奮していたか、思い出すだに赤面する。
自分でも、いい歳して車に夢中になるなんて予想していなかった。
それまでの人生では、車は男性パートナーが運転して私は助手席に乗るものだとしか考えていなかったし、都心に住んでいる期間が圧倒的に長かったものだから、車を所有する必要性も殆ど感じず、ましてやバカ高い駐車場の賃料を支払う事などナンセンスだとすら考えていたのだ。
交通が不便な所に引っ越して来て、女性でも自分で運転が出来た方が良いと勧めてくれたのは、誰あろう亡き舅であった。
偏見かも知れないけれど、明治生まれの男性にしては、それはとても進歩的な考え方だったのではないだろうか。
大正生まれの亡き実父は、私は自分の妻に運転をさせる事は望まなかった。
むしろ反対していた。
それは母も私も短気だからかも知れない。
性格がおとなしくて穏やかな(と父が思っていたらしい)妹は、高校卒業を機に免許を取得するという、地方に住む女性の典型的なタイミングで免許を取っている。
だから、自分の妻や娘だから「何が何でも車を運転する事には反対」という気持ちではなかったのだろう。
しかし、私は本当に短気なのだろうか。
せっかちだけど、短気だとばかりは言えないと思う。忍耐強いし、そこそこの経験値による判断力や冷静さも身につけて来ているはずだ。
実際、路上教習の時の教官にも「女性の割に判断が早いね」と褒められた。
あれ?判断力があるという事と、判断が早いという事では違うかな?
でも短気だから判断が早い・・・という事ではないぞ、うん。
この場合の判断というのは、然るべき判断結果を指しており、無鉄砲であるいう事ではないはずだ。だって教習中の事なのだから。
ともあれ、40歳近い当時失業中で「専業主婦」の肩書きしかなかったオバサンだけど、1時間もオーバーせずに卒業したし、仮免の検定では満点で褒められたのが自慢のタネだった。
だって周囲は土地柄もあり、慶応の大学生と日大高校の高校生が殆どだったのだ。
そういう現役の学生に混じり、オバサンは当初は肩身が狭かったけれど、教習に取り組む姿勢は極めて真面目だったし、背水の陣という気持ちで免許を取った。
学科教習では毎回一番前の真ん中の席をとり、こちらから質問もした。
一方的に聞いているだけの授業言うのは退屈で飽きてしまうけれど、先生にはちょっとした疑問を質問したりキャッチボールがあると、退屈しのぎだけでなく、頭にもよく入るものだ。
教本に書いてある事を教わっても仕方が無い。だから退屈するのだ。
でも、交通規則の原則や車の機能の構造的な意味を知れば、機械的に覚える辛さが軽減されるし、そうして覚えた内容というのはそうそう忘れないものだ。
親しく話すようになった教官も何人かいたし、最初は気乗りのしなかった教習所通いだったのに、卒業間近になると卒業するのが惜しくて、もっと通っていたいとすら思った。
だけどわざわざ落第する必要もないし、心を残して卒業したのだけれど、今でも自動車学校や色々と教えてくれた教官には感謝している。
公道を運転するにあたってのとても大切な心得・・・即ち他の車に迷惑を掛けない運転をするという心構えは、こうちゃんにも教わった事だけれど、日吉自動車学校のH川教官からも端的に教えられた最大の教訓だ。
有り難う、H川教官。
ある日、高速教習に出る前にこの教官とすれ違った時、「今日は高速教習なんです」と不安を漏らしたら、「大丈夫、あれくらい運転出来れば」と励ましてもくれた。
そんな程度の事が、車の運転なんか自分に本当に出来るのだろうか・・・と不安しかない状態で通い始めた私に、どれだけ勇気を与えてくれた事か。
そして一番の教官は、やはりこうちゃんだった。
仮免を取った後は、自宅の車に「仮免許練習中」という誇らしくも恥ずかしい手書きの札を貼り付けて、こうちゃんに助手席に乗って貰って、あちこちに出掛けた。
246を走って都内まで練習に行ったし、以前にも書いたと思うけど、小学生の男の子たちに「仮免許練習中、頑張って下さ〜い」と大声で冷やかされた事もあった。
でも、恥ずかしいというより何だか嬉しくて、ニコニコして手を振って応えたよ、私は。
こうちゃんは、一度も私を叱らなかった。
よく色んな奥様方から聞かされる、ご主人に頼んで運転の練習相手になって貰うと「教習所で何を習って来たんだ!」と叱られるというような言葉は、彼の口からは決して出なかった。
むしろ「そうそう、上手いよ」と必ず褒めてくれた。
運転歴が長く、実際とても運転の上手い彼から見て、仮免が取れたばかりの私の運転がそんなに褒められる程に上手かったとは到底思えない。
でも、彼は初心者にものを教えるという事の大切さや、人の心はどうすれば素直に開くのかという事を心得ている人だった。
そう言えば、彼の会社に入った時、新入社員研修を担当していたのがこうちゃんで、そのお陰で厳しい仕事にも耐えられたと思うし、大事な心構えを教えられた通りに実践して成績を挙げられたと思っている。
教える事が好きだし、上手いのだ、うちのこうちゃんは。
車の構造や運転技術の要所要所と、車を自分の体と一体化させて走る事の大切さをこうちゃんが教えてくれたお陰で、私は運転が楽しくて仕方ない初心者となり、初心者のうちから車通勤するような生意気なドライバーとなった。
どこへ行くにも物怖じせずに初めての道を探索したり、独自の抜け道を開発した。
走った後は地図で道を確認し、頭の中の地図が少しずつ点から線、線から面へと広がって行く事を楽しんだ。
当時の私は道路地図を見ながら、それを肴に酒が飲める位に地図が好きだった。
覚えた道を自分で地図に描く事も好きだ。これは今でも好き。
今、指が強張ったり痛かったりでハンドルがしっかり握れなかったり、足が痛くてブレーキやアクセルがしっかり踏めなかったりするものだから、私は大好きな運転が出来ないでいる。
死ぬまでに、もう一度運転が出来るようになるだろうか。
長くなるので、この話題は明日に続く。
我ながらしつこいね、まったく。 |
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