2014年6月6日 金曜日 (禁煙649日目)
昨夜から音を立てて雨が降り続き、そのまま雨の夜明けとなった。
しかし7時過ぎには一時的に雨が上がった。
「今、やんでいるよね、雨」と話していた時、電話が鳴った。
先日、町会費を入れずに回したにもかかわらず「入れました」と言い張っていたという、その人からだった。
やけに遜った口調だった。
曰く、うち(カワグチの家の事だ)の「駐車場」(と彼女は言った)の隅っこで猫が死んでいる、全身薄茶の小さな猫で外傷は無い、自分はもう職場で、自転車でさっと通り過ぎただけなので良く見ていないけど・・・と言う事であった。
解りました、対処しますと答えて電話を切った。
こうちゃんに伝え、直ぐに二人で雨合羽の上下を着込んで外に出て行く。
駐車場(車寄せ)には何も無い。
既に誰かが片付けてしまったのだろうか?と思いながら、ガレージの方に回って探しに行ってみると、シャッターの前を避けるようにして死骸があった。
それは、私達が勝手に「ペドロ」と呼んでいた野良猫だった。
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ガラ ペドロならアタシ知ってる
Jun. 6, 2014
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ガラ 窓の外に居たのを見たから
Jun. 6, 2014
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なるほどペドロの身体には外傷も無く、自然死であろうと思われた。
私が最後に見掛けた時には、もう大分年老いている様子だった。
毛が濡れてガリガリに痩せているのが解った。
この猫はペルシャの血が入っているような半長毛だから、ここまで痩せているとは見た目では解らなかった。
「全身薄茶」ではなくて「チャコールグレー」だ。
でも、濡れた被毛の根本の方、白っぽい色をしていた。
せめて雨に濡れずに乾いていたら、こんなに貧相に見えないで済んだのに・・・と痛ましかった。
「ペドロ」という呼び名は、こうちゃんがいつの間にかつけていたんだ。
なるほど、いかにも「ペドロ」という顔をしていた。
少し潰れた顔をしていて、とぼけた味のある、亡き「黒岩ニャジラ」をグレーにしたような猫だった。
それにしても、野良猫があんな人目につく場所で死ぬはずが無い。
交通事故で死んだ猫の遺体意外に、老衰や病気で死んだ野良猫の遺体というものを、私は見た事が無い。
多分、あの人は自分の家の敷地内で見つけて、我が家のガレージの前まで運んで来て置いて行ったのだろう。
そして出勤してから電話して来たのだ。
うちの電話番号など携帯に入れている筈がないから、段取り良く押しつけようとした事と思われる。
まあ、いいさ。
ゴミとして処理されてしまうよりは、私達で埋葬してやれたから。
叶う事なら家猫にしてやりたかったけれど、私達にはもうこれ以上は増やせないと諦めたのだ。
何度も願っては悩み、何度も諦めた。
そういう野良猫は他にもたくさん居る。
幾らでも居るのだ。
だから我が家には40匹近くもの猫が暮らして居るのだ。
でも、増やすのはもうお終いにしなければいけない。
残しては死ねないのだから。
そう考え、何度も諦めたんだ。
家に入れてしまった方が楽なのだけど。
土を深く掘れる場所が僅かにあねので、そこを二人でせっせと掘り、ペドロを深いところに納めた。
土を掛けていると、家猫にしてやれないままで死なせた事が申し訳なくて、涙が出た。
ゴメンね。
犬やタヌキ、アライグマなどに掘り返されても困るので、ペドロの上には鉢植えの山アジサイを植えておいた。
先日(6月2日)、庭で撮ったあのアジサイだ。
あれから日増しに赤味が強くなってきている。
今日からこのアジサイを「ペドロ」と命名する。
ペドロの肉体は土に戻り、アジサイを育て、毎年綺麗な花を咲かせてくれるだろう。
その為に、少しだけ手を貸そうと思う。
7月の初めには切り戻し、来年に備えるのだ。
シロちゃんを可愛がってくれていたピアノじじいの家にも、ペドロの死を知らせる事にした。
こうちゃんが先日車をガレージに入れていた時、ピアノじじいが外に出ていて話をしたらしい。
ペドロが庭のあちこちでウンコするのだと言って、夫婦で片付けているところだったそうだ。
野良猫の不妊去勢や保護、餌やりを続けているご夫婦で、猫に限らず生き物に対して優しい気持ちでいる人達だ。
顔見知りの野良猫ペドロの事も、ウンコされようと迷惑がっていた訳ではないようだった。
むしろ心配してくれていただろうと思うし、野良猫情報を共有しておこうと思って電話してみた。
かつてのシロちゃんのように、ペドロはこの家でもご飯を貰っていた。
この家には「小梅」というふくよかなメス猫も棲みついていて、その「小梅」目当てでオス猫がウロウロするようだ。
とっくに不妊手術してあるメス猫だけど、他にメス猫がこの辺りには居ないのでモテモテなのだ。
今朝は姿を見ないね・・・と話して、ペドロを探していたところだったと言う。
当然、ペドロが置かれていた場所もチェックしていると言っていた。
そうだ、私達よりもこの家の人の方が、ずっと自然に視界に入る場所なのだ。
朝の7時頃には、そこにはありませんでしたよと言っていた。
どういう経緯であったかを話す。
そして同じ意見を得る。
どういう人であるかを、町会の人達はもう良く解っているらしい。
でもまあ、嘘つきでもいいよ、猫を虐待しなければ、それだけでいいよ。
ペドロを私達の手で埋葬してやれたから、むしろこれが正解だったのだと思おう。
神様がペドロの為に彼女という嘘つきを遣わして下さったのだと思おう。
でも嘘を言うのは大概にして欲しい。
これまでにもたくさん色んな嘘をついたっけね、あの人。
嘘つきは治らないから、これからもずっと嘘をつき続けるんだろうな。
年老いたらますます酷くなるだろうし。
早くここを越して、妹の家の近くに行きたいなあ。
どこでも同じような問題はあるだろうけど、妹と近くに住めればお互いに安心だからなあ。
いつか実現するだろうか。
実現させようとしない限り、実現なんかしないよね。
ま、全ては猫たちを全員無事に見送ってからの事よ。
ピアノじじいは後でまた電話をくれて、早速ご夫婦でアジサイ「ペドロ」に手を合わせてくれたようだ。
「良いアジサイですね」と言ってくれた。
良かった、ペドロを偲んでくれる人たちが居て。
その後、雨はどんどん激しく降り続いて、大雨警報まで出ていた。
ペドロを葬ったその時間帯だけ雨が上がっていたのだ。
神様、ペドロが迷う事のないように、天国にお導き下さい。
ミュウやぶーちゃん、黒岩さん、カワムラさん、みーちゃん、その他の愛しい猫達と一緒に、いつの日か私がそこに行ったら、みんなでグルグル回って溶けて、ひとつのバターの塊りになってしまおう。 |
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