《CAT'S EYES & CAT'S HANDS》猫雑記
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レン

僕の顔は哀しくない

Nov. 28, 2009
レン
2009年11月28日 土曜日

昨夜観た映画【バリー・リンドン】について。

スタンリー・キューブリック監督の1975年の大作。どう大作なのかは何かにつけ話には聞いていたけれど、今回初めて観る機会を得た。



ストーリーは、簡単に言ってしまうと、18世紀のイギリス(正確にはアイルランド)の貧しい農家に生まれたレドモンド・バリーという男が、自らの野心と手練手管で貴族(実際には、貴族であったのは彼の妻だが)の階級にまで成り上がり、やがて破滅して行く物語である。

その男の虚しい一生の物語の詳細を知りたければ、ウィリアム・メイクピース・サッカレーの原作【バリー・リンドン 〜Barry Lyndon〜】(1844年)を読むのに如くはないのだろうが、邦訳の書籍を求めるのはかなり難しいかも知れない。



その意味でも、この3時間超の映画は貴重だ。

衣裳からセットの豪華さ、時代考証の全てが18世紀を再現し、その後長く語り継がれてきた「ローソクの光だけで撮れるレンズの開発やカメラの改造」など、お金も時間も知識もたっぷり詰め込んで見せる・魅せる。

長い映画だが、たった3時間で18世紀のアッパー・クラスを堪能出来るとも言える。



豪華絢爛たる衣裳と美術、当時の貴族たちの髪型の大仰さ、白塗りの化粧の異様さ。

そして、如何に貴族たちが何も生み出さず、如何に暇をつぶす事だけに腐心していたか・・・

当時のアッパー・クラスの生活ぶりが良く解るテキストのような映画だ。






全編に流れるテーマ音楽は、ヘンデルの「サラバンド」。

近年、この曲を耳にする機会がとても多い。

映画【剱岳】でも、またNHKのアウシュビッツを描いたドキュメンタリーでも、そして今現在見る事の出来る日産のクルマのCMや数年前のフィギュア・スケートでもアイス・ダンスのテーマ曲として使われていたので、聴けばどなたも「ああ、この曲・・・」とお解りになるはず。



正しくは「ハープシコード組曲第11番〔第2集第4番〕 ニ短調HWV.437 ”サラバンド”」
http://www.youtube.com/watch?v=erKsIJyfB_Q


元々はハープシコードの練習用に作った曲というから、こんな演奏がオリジナルなのだろう。
http://www.youtube.com/watch?v=GlTdQKTqjOM






監督のスタンリー・キューブリックと言えば、私の世代だったら何と言っても【シャイニング】(1980年)が同時代に封切りで観た最初であり、少し前の【時計じかけのオレンジ】(1971年)や【2001年宇宙の旅】(1968年)となると私の小中学生の頃の作品なので、リバイバル上映で観た。



昔は、日本では「キューブリック」とは言わず「カブリック」と言っていた。

【時計じかけ・・・】の頃には既に「キューブリック」と呼んでいたような覚えがあるが、本当はいつからだったか正確には解らない。







いずれの俳優も名演だが、主役のバリー・リンドンを演じるライアン・オニールは、この役柄にはピッタリだ。

とりわけ、義理の息子バリンドン卿に決闘を申し込まれ、彼を撃てずに床に向けて発砲するときの哀しそうな顔。

それなのにバリンドンは彼を撃ち、片足を切断するような大怪我を負わせる。

足を失い、ベッドに横たわるバリーの沈痛な面持ち・・・



【ある愛の詩】でも見せた、元祖「哀しそうな顔」が生きている。「哀しそうな顔」の代表ニコラス・ケイジのそれとは、悲しみの質が違うように見える。

ニコラス・ケイジを嫌う男の観客はあまり居ないような気がするが、ライアン・オニールを嫌いな男はたくさん居るのではないだろうか。

いかにも甘いマスク、楽々とオンナをモノにしそうな雰囲気・・・日本の男がシンパシィを感じるタイプではない。

たけど言い様のない哀しい表情をして見せると、欧米人だろうが日本人だろうが、女子はコロッとイカレてしまうに違いない。



この俳優は、科白が少ないとグッと生きる。

【ザ・ドライバー】の時は際立って殆ど喋らず、その表情がとても意味深長で素晴らしかった。【ある愛の詩】という映画の日本での取り上げられ方で出来上がってしまったイメージと違い、意外と硬派なのだとこの作品では感じたものだ。



またライアン・オニールには、日本未公開だけどテレビでは放映された【パートナーズ】というB級の名作もある。

この演技でも単純なマッチョぶりを発揮して、ジョン・ハートとの見事な対比を見せている。素晴らしいコメディなので、是非一度探してみて下さい。







はてさて、余りにも愚かで哀れなバリー・リンドン。

その愚かさは、美しさと冨と貴族の称号を持ち、何よりもバリーを愛する妻を信じていればこんな悲惨な末路を辿らなくても済んだだろうに、愚かで強欲な実母のそそのかしに乗って、自らのイカサマ人生を助長させてしまった事に尽きる。



蛇足だが、息子の家庭教師のラント牧師役、マーレイ・メルヴィンの怪演は、一見に値すると思う。

まだご覧になっていない方は、是非、ラント牧師を見る為だけでも、【バリー・リンドン】のDVDを借りる価値はあると思います。

賭博場で、レディ・リンドンに付き添うラント牧師(左)

この白塗りの顔の怖い事!

これで笑うと、もっともっと怖いんです。



痩せた長身で、白いタイツを穿いた細い足も怖い。

ラント牧師の全身の画像がなくて残念。



ところで、この時代、男も化粧していたのでしょうか?

イギリス文化と歴史に詳しい人がいらしたら、是非教えて下さい。






猫の話題は無し。

10年以上毎日書いていたら、そういう日々もありまさぁね。猫の写真を載せるだけで、どうかお許し下さい。
レン

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Nov. 28, 2009
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Nov. 28, 2009
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